Idea4U vol.642023 Winter2 日本の物流を支える基軸の一つとして、もはや欠かすことができない存在であるトラック。このトラックを代表とする「働く車」のドライバーの皆さんが、日々の仕事を安心安全かつ便利・快適にこなす上で必要なものは、荷物を確実に固定するツールから、足回りと呼ばれるタイヤ関連まで様々です。今回は、トラック・自動車用品、物流用品の企画・開発から販売までを担う株式会社パーマンコーポレーション(以下パーマン)代表取締役 社長 中部 祥元氏に、ダイレクト販売先駆けとしての立場から、変化の波が押し寄せる業界の現状と影響、未来展望を語っていただきました。 2017年の社長就任以来、改革を行っ てこられた中部氏は当初、金融出身の立場から、まず物理的なモノが動いてゆく様子に感銘を受けたそうです。同時に、こうもおっしゃいました。「創業者の吉原雅郎氏が、当時、新規参入にあたり海外でオリジナル商品の生産委託先を必死で探し出したわけです。だからこそ今も取引先やお客様と強い信頼関係を築き上げ、今なお感謝され続けているのです」。 創業者が開発したギアレンチ(資料1 参照)、つまりナットを締めたり緩めたりする工具は、運送業界で知名度アップの切り札となりました。ギアレン チを原点に、コスパの良い商品開発にこだわった商品展開で信頼を得る中、創業者のアメリカ訪問によって大きな転機を迎えました。「35年ほど前の こと。アメリカでダイレクト販売を見て、パーマンもダイレクト販売を始めました。自分たちでチラシを作って、メーカーから直接仕入れてユーザーさん に直接届けるやり方です。ここからいっそうモノづくりの信念を持って商品をそろえていきました。ユーザーさんの 声を聴きながら、より便利なものを作るので、通常の通販会社とは違う!単に仕入れて売るのではなく、安全面もよくわかっている人間が商品を確認しながら提供するから、信頼されるのだと思っています」。 チラシから始まり、商品数が増えて分厚いカタログのようになってからも、社内では今でもあえてDMと呼ぶそうです。ユーザーに直接送り届けるものという意味でDMであるという、これもこだわりです。ダイレクト販売の流れは、ネット販売にも拡大、さらに2018 年には、トラックターミナルにほど近い場所にリアル店舗としてパーマンショップ東京店を設置。ネットは「探す」(検索)、カタログは「見る・読む」、店舗は見たり触ったりして「理解する」、と役割が全く違う3つの売り場をもちながら、業務を拡大し続けています。 「事業発展計画書を作って、毎年4月に 私から発表・説明しています。創業者の思い、DXやGXを前提とした世の中の動きを伝え、社内的にはISOの項目をベースに各部門に対し課題を振り分け、進捗確認を行うというやり方 です。お客様にとって本当に役立つことだけ、正直に一生懸命に!とやってきました」と中部氏。 「なんでも、では勝負できませんから、勝負する事業領域として『働く車』としました。輸送・物流に関連するところに特化し、商品開発していこうと。分野を絞り込んで勉強し、英知が結集すれば密度が高くなり、パーマンの得意分野がわかりやすくなりますから」と、ビジョンとしてドメインをどこに定めるかの大切さを説明してくださいました。社員への説明は、毎年環境変化に対応しながらも、軸がブレないよう、こう説明するそうです。 「パーマンは『セレクトショップ』ですから、当社が自信を持って選んだ商品をユーザーさんにおすすめします。ヒット商品は必ず他社に真似されるので、小さなヒットでもいいから細かく重ねて、だれも真似できないものをたくさん持っている状態が理想」。オリジナル商品開発のための情報収集も重視し、各拠点には、ユーザーを直接訪問してヒアリングするための営業を配置しています。 「自社商品が想定外の使い方をされていることに驚くこともありますが、大変勉強になります。お叱りを受ける資料1創業者開発のギアレンチ。現在も進化を遂げて大ロングセラー商品として健在。使用法は動画でも紹介中ターニングポイントは ダイレクト販売の開始事業領域を明確化し共有ユーザーの声を大切に!ユーザーの声を活かした企画・開発モノづくり発想を活かしてオリジナル商品で「働く車」をサポート
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