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中塚 美由紀 氏日本たばこ産業株式会社京都支社 部長キャプテンとして活躍していた現役時代の中塚氏(本人提供)Idea4U vol.62 引退直後、社会人としての知識がないというコンプレックスは、「能力がないのではなく知る機会と経験がなかっただけ、と気付けなかったのが原因」と分析。「厳しい指導のもと自分と戦い続けると、自己肯定感が低くなりがち」との指摘には、ただ納得。勝負の世界は、努力しても負けたら終わりで、反省が常態化して欠点にばかり目が行き、自信が持てないのです。特に女子アスリートは自己評価が低めで、完璧でない限り「できます」と言わない傾向があるようです。 中塚氏ご自身は、モヤモヤを抱え5〜6年過ごした頃、社内の状況を見て「選手時代にも似たようなことがあった」と突然気付きます。大きな組織で起きることも、本質的にはそう違わないと腹落ちしました。キャプテン経験を武器に上司の心境を思い、「本音はこうでは?」「今求められているのは何か」と行動した結果、感謝される機会も増えたそう。これを機に目覚め、「アスリート思考の特徴でしょうか、純粋に上のランクがあるなら上を目指そう!と。当時の上司や先輩社員が、暖かく見守ってくださったから こそ、です。感謝しかありません」と満面の笑みで語ってくださいました。 かつてはバレーボール選手でキャプテン、現在は管理職として活躍中の中塚氏の姿は、具体的な一人のロールモデルとして、特に現役選手に勇気を与えていることでしょう。JTではJTマーヴェラスの現役選手に対するキャリアプログラム が実施されているとのこと。「研修の一環で、OGからのアドバイスとして私も講師を務め、社内でどうキャリアを積んだのか、今から知っておくべき情報や心構えを中心に伝える機会も頂きました」。 引退したばかりのアスリートにセルフプロデュース力を求めるのは酷な話で、サポートは必須です。「所属企業は、選手が競技に集中できる環境づくりと共にセカンドキャリア教育も大切にしてほしいですね。企業の広告塔としてまずは勝利を!という現実もありますが、技術向上と同様に引退後の人生のための人間形成も必須です」と中塚氏。選手が現役時代から引退後の生き方を意識することと、周囲のサポート体制の両輪が揃うと、セカンドキャリアへの移行もスムーズでしょう。心身共に自己研鑽を重ね、特訓・自主練も厭わないアスリートは、結果を出すため入念な準備を続け ます。「例えばバレーボールはつなぐスポーツなので、次にボールを渡す相手の動きを想像してプレーします。チームにどう貢献できるか常に考える姿勢は、職場や得意先での対話でも強みになるはず」とのこと。控え選手は、チーム最適の視点で「何をすべきか」判断するからこそ、コートに立つ選手が試合に集中できる点は、ビジネスにも当てはまります。 キャプテンと管理職の両方の経験からこうもおっしゃいます。「勝つために集結した同世代女子選手を率いるより、年齢、キャリア、働く目的が違うメンバーを束ねて成果を出す会社のマネジメントの方が大変」。さらには、「有言実行が好き。『こういう組織にしたい』と言葉にすると、不思議と助けてくれる人が現れたり、専門家とつながったり。一人で解決しようとせず、周囲を巻き込んで一緒に進んでいきたいですね」と。新たな船出には、過去のキャリアの振り返りが欠かせませんが、「これをやり切った、とはっきり言える何かがあるのはアスリートの強み。セカンドキャリアでも必ず役に立ちます!」と力説されていま した。一方周囲は特別視しすぎず、一時期アスリートとして過ごした人材、という捉え方で良いのかもしれません。本人が言わないだけで、皆さんの身近にも過去のキャリアを活かせずもがき続け、セカンドキャリアにたどり着けない元アスリートがいらっしゃるはずです。 「私自身は、引退してずいぶん経った今でも、商談時等にJTマーヴェラスとい うブランドに助けられることがあります。マーヴェラスに対して私が恩返しとしてできるのは、後に続く後輩たちのセカンドキャリアへの道筋をつけるため、今いる場所でベストを尽くすことだと思っています」というお話は非常に印象的でした。スポーツとは縁のない企業でも、元アスリートの転職先として一般化し人材活用が進めば、社会の意識も次第に変わるはずです。今回の取材を通じ、これからは、様々な背景を持つ多様な人材が幅広く活躍できることが企業を活性化し、ひいては世の中を元気にするのだと実感しました。(株式会社フジプラス) 32022 Summer日本たばこ産業株式会社については、こちらからご覧いただけます。  https://www.jti.co.jp/めば、人材活用の可能性も広がる。アスリートから会社員への転身!本質を理解し突然乗り越えた瞬間大切なのはセルフプロデュースと見極め!周りのサポートがあってこそ飛び立てる!まとめ■ アスリート自身の認識と、世の中一般の 視点のギャップを埋めると何かが変わる。■ アスリート本人の意識改革と共に、早い時期からのセカンドキャリア教育が重要。■ 企業による元アスリートへの理解が進

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