モノを取り扱う企業にとって特に最優先で取り組むべきこととして「気候変動への対応」「廃棄物を出さない仕組みづくり」「雇用の工夫」が挙げられる。1つの目途は【2030年】であり、パリ協定でのCO2削減(2013年度比▲46%)目標の達成、サーキュラーエコノミーにおいては2030年までに4.5兆ドルもの市場成長が予測され、日本の人口の1/3が65歳以上の高齢者になる超高齢化といった状況である。ばなりません。そのため、CSRは企業が社会的責任を果たすための活動を経営に組み込んでいくことを意味し、利益の一部を社会に還元し、企業統治に関する情報を定められたガイドラインに沿って開示する取り組みをします。 すなわち、CSRは企業側からの視点に対し、ESGは社会や投資側からの視点となり、そもそもの視点が異なります。 次にSDGsですが、Sustainable Develop- ment Goalsの略であり、持続可能な開発目標と訳されます。これは、2015年9月の国連サミットで採択された ■2030年までに持続可能で多用性と包摂性のある社会を実現する■ ための国際目標です。貧困、飢餓、保健、教育、ジェンダー、水・衛生、エネルギー、成長・雇用、不平等、気候変動、海洋資源、陸上資源など17の目標と169のターゲット、232の指標が示されています。日本でも2016年5月に総理大臣を本部長としたSDGs推進本部が設置され、2020年からは毎年「SDGsアクション プラン」が発表されております。この SDGsは政府や行政も含めた国際社会 全体で取り組んでいくものに対し、ESG は企業や投資家が取り組んでいくものとなり、取り組みの規模が異なります。 よって、いずれも視点の違いについてはご理解いただけたかと思いますが、企業の目的としては全てにおいてサステナビリティ(持続可能性)への貢献であることには違いありません。 では、弊社のようなモノを取り扱う企業は、ESGに対して具体的にはどのように取り組んでいけばよいのでしょうか? まず何よりも最優先課題は「気候変動への対応」であり、いわゆる温暖化対策になります。日本政府は2020年10月に、温室効果ガスの排出を全体として実質ゼロにするカーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。この実質ゼロというのは、活動により排出されるCO2と森林などが吸収するCO2の量がほぼ同じ状態であることを意味します。具体的にCO2を排出ゼロにするために企業ができることとして、 ①再エネ電気への切り替え、②太陽光発電の取り組みや利用、③省エネ(LED利用、空調等)、④電気自動車の利用な どが挙げられます。CO2削減という点では、⑤テレワークや残業時間を減らすなどの「働き方改革」、⑥CO2排出に繋がっている原料の利用削減あるいは廃止、⑦輸送を使わない「適地生産」、⑧無駄に多く作らない「適量生産」などもあります。工夫次第で他にも色々と取り組めそうな課題ではあります。 次に取り組むべき課題は「廃棄物を出さない」取り組みかもしれません。すなわちこれまでの経済モデルを根本的に変えることにあり、生産→消費→廃棄までのリニア型(直線型)経済から、生産→消費→リサイクルするサーキュラー型(循環型)経済にシフトチェンジすることになります。このサーキュラーエコノミーを実現するために企業がすべきことは、①製品の循環型供給、②シェアリング・プラットフォームの実現、③製品のサービス化、④製品の寿命延長、⑤資源回収とリサイクルなどがあります。 もう1つ挙げるならば「雇用の工夫」かもしれません。いまや作業の機械化、デジタル化が進む中でも、今後の経済成長を支える原動力もやはり■人■だと考えます。人口減少や高齢化が進む日本は人手不足感が否めない一方、本来■人■がすべき仕事の環境が整っているかどうかも大事です。企業がすべきことは、①多様な人材確保(ダイバーシティ)、②フレキシブルな働き方への対応(ワークライフバランス)、③格差是正などがあるでしょう。 さいごにこのESG経営で最も意識しないといけないことは「周りを巻き込ん で取り組む」こと。いまのような経済成長を支えたのも、持続可能な成長を難しくしたのも、我々ビジネスパー ソンかもしれません。しかし、若い世代や次世代の子どもたちが、未来がどうあるべきかを考えると、世代を超えていま一度、一緒に取り組まないといけないテーマなのではないでしょうか。(株式会社フジプラス) 11Idea4U vol.622022 Summer■ ESGは、CSRやSDGsとは視点こそ異なるが、共通の目的はサステナビリティへの貢献である。■ ESG経営がすべきことは多岐にわたる が、特に「気候変動への対応」「廃棄物を出さない」「雇用の工夫」は何よりも最優先課題。■ ESG経営としてモノを取り 扱う企業が取り組むべきことまとめ■ ESG経営への取り組みは社会的責任で あり、取り組まないことこそ最大のリス クになり得る。
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