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利用者消費者Idea4U vol.612022 Spring11生物園再生バイオガス嫌気的消化肥飼料等の原材料の抽出※2農林水産業※1肥飼料等の原材料カスケード再生可能資源系統的な漏出と負の外部性を最小化する部品メーカー製品メーカーサービス企業回収シェアリユース/再配分維持/長寿命化枯渇性資源■製造業では、元の製品を完全に分解して再生できたり、パーツを減らしてシンプルにしたり、廃棄せず循環させる前提で製品開発が行なわれている。■確実に回収する仕組みがあれば、環境にやさしいサステナブルな消費を実現できる。リサイクル改修/再製造ラーエコノミーはあくまで廃棄物や汚染を出さないこと前提であり、似ているようですが、根本的には考え方が異なります。■製造業が取り組む 実際の事例を見ていきましょう。例えば、アディダスが作るランニングシューズ「FUTURECRAFT.LOOP」は、100%リ サイクル可能なものとなっていて、返却された製品は分解され、新しいランニングシューズに生まれ変わるといいます。従来のシューズには接着剤による貼り付けを必要としましたが、接着剤を使用しないことで再生できる設計となっております。 他にも、イケアが手掛けるのはサーキュラーデザインです。これはデザインをシンプルにすることで、従来のソファ製品にあったプロダクションパーツ120個を13個に減らしています。パーツが減ることでサプライチェーンの無駄を減らし、組立も解体も簡単になります。ネジやクギを一切使わない接合方法にも取り組んでいるといいます。 また、弊社に身近な「紙」の事例を挙げると、エプソンが提供する乾式オフィス製紙機「PaperLab」があります。本来、製紙に使われる木材パルプを一切使わず、使用後のコピー用紙などを再生し資源を完全にサイクルさせます。一般的な用紙は水を大量に使って製紙されますが、その1%程度の水しか使用しないそうです。■仕組みで課題解決する 実際のモノを製造する製造業だけにとどまらず、仕組みで解決するようなサーキュラーエコノミー事例もあります。例えば、テラサイクル社が立ち上げたショッ ピングプラットフォーム「Loop」には、“捨てるという概念を捨てよう”というミッション があります。従来使い捨てにされていた食器や容器などの一般消費財を繰り返し利用可能な耐久性の高い素材に変え、使用後は消費者の自宅から容器を回収し、洗浄、補充したうえでリユースする仕組みになっております。これにより賛同するメーカーは各ブランドのパッケージを優れたデザインと機能を備えたものへと進化させることができ、短期的には高価になるものの、長期的にみるとコスト削減が期待できます。使い終わった容器をLoop専用のバッグに入れて回収してもらうことで、ライフスタイルを変えることなくより環境にやさしいサステナブルな消費を実現できます。他にも、ストックホルムのショッピングモール「ReTura」は、リサイクル品やアップサイクル品を取り扱う店舗だけで構成されております。衣類、家具、家電製品、玩具などの店舗があり、買い物だけでなく不要になったものをモール内に戻すことができ、それらの一部はリサイクルされて新たな商品に生まれ変わり再びモールで販売されるといいます。 ここまでいくつか事例を挙げながらサーキュラーエコノミーについて考えてきましたが、我々のような「紙」を多く取り扱う企業はどのようにすべきか。何よりもまずは「無駄な紙は使わない」という覚悟だと考えます。そのためには既成概念を大きく変える必要があります。まだまだバラマキ型販促が存在するなか、必要な情報を必要としている人に届けるパーソナライズメディアに置き換えることで、最低限の使用量に絞ることができます。近い将来「内容間違いによる大量再生産」なども無くなり、改めて本来のビジネス目的に向けた議論が始められるのではないでしょうか。(株式会社フジプラス) 図2エレン・マッカーサー財団が提唱する「バタフライダイアグラム」注:※1狩猟と漁撈(ろう)※2収穫後と消費済の廃棄物の両方を投入として利用可能資料:EllenMacArthurFoundation.SUN.andMcKinseyCenterforBusinessandEnvironment「DrawingfromBraungart&McDonough.CradletoCradle(C2C)」より作成サーキュラーエコノミー事例生物的サイクルサーキュラーエコノミー事例技術的サイクルまとめ■サーキュラーエコノミーは、リサイクルやアップサイクルで資源の循環を図り、廃棄物を出さないビジネスモデルである。

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