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Idea4U vol.612022 Spring10リニアエコノミーとサーキュラーエコノミーとの違いリニアエコノミー原料生産消費廃棄物原料生産消費 現代の資本主義経済は、18世紀後半のイギリスで起きた産業革命をきっかけにはじまったと言われています。新しい技術を発明し、それを取り入れ、世の中や人が便利なモノで潤う経済です。しかしそれは、資源を大量に消費し、利用し、そして廃棄される一方通行のリニアエコノミー(直線型経済)になってしまっております。これは企業の経営においては、モノを売り切り、コストと利益を回収するビジネスモデルを生みましたが、あくまで供給者側の視点で成り立っているモデルであり、資源における活用に立ち返ってみると実に非効率な仕組みなのです。 その結果、非効率に資源を使った「大量生産・大量消費・大量廃棄」の経済活動はさまざまな環境問題や社会問題を生み出すことになり、もはやこのままでは解決できないことが見えてきました。そこでいま注目されているのが、サーキュラーエコノミー(循環型経済)です(図1)。サーキュラーエコノミーは、資源の活用において循環を図り、廃棄物を出さない仕組みを実現することが主軸となっております。そのためにもリサイクルやアップサイクルを推進し、廃棄物を資源として再利用することで、資源の廃棄ゼロを目指します。 サーキュラーエコノミーは、国際的な推進団体であるエレン・マッカーサー財団が「サーキュラーエコノミーの3原則」を提唱しております(図2)。①Regeneratenaturalsystems(自然のシステムを再生する)有限な資源ストックを制御し、再生可能な自然フローの中で収支を合わせることにより、自然資本を保存・増加させる。そのためには、自然への負荷(マイナス)を減らすのではなく、自然にとってプラスになる仕組みをつくる。②Keepproductsandmaterialsinuse(製品と原材料を捨てずに使い続ける)技術面、生物面の両方において製品や部品、素材を常に最大限に利用可能な範囲で循環させることで資源からの生産を最適化する。例えば金属やプラスチックは地下資源を採掘して製品化されるが、環境を破壊しないようにリユース、リペア、リプロダクト、リサイクルなどを通じて経済の中で何度も繰り返し使い続ける必要がある。リサイクル③Designoutwasteandpollution(廃棄と汚染を出さない設計)負の外部性を明らかにし、排除する設計にすることによってシステムの効率性を高める。それは、素材の選択から、製品の使用後、誰と協働するか、製品を標準化できるか、それこそ使用済みの製品に対してどのような規制があるかなど、システム全体をデザインし、初期段階から考えておく。 またコンサルティング企業のアクセンチュア・ストラテジーが、次の5つのビジネスモデルを提言しております。①循環型サプライ例えば生分解性のある100%再生可能な原材料を使用するなど、製品の設計・製造段階から回収・再利用しやすい素材を選ぶ。②シェアリング・プラットフォームデジタル技術を活用し、モノや資産の共同利用を促進し稼働率を最大化する取り組み。③製品のサービス提供必要なときだけモノを使い、使った分の利用料を支払えば、モノを所有する必要がなくなる。④製品寿命の延長デザイン、修理、部品の調整、アップグレード、二次使用での再販など、長期にわたって利用できるようにして、継続的な価値を創出すること。⑤回収とリサイクル製品の寿命が切れた後のことを考慮し、回収後には速やかに原材料に戻し、製造サイクルに戻す。 ちなみに、廃棄物問題への対応として 掲げられた3R(Reduce・Reuse・Recycle)は廃棄物の抑制が前提ですが、サーキュ図1■リニアエコノミーから サーキュラーエコノミーへサーキュラーエコノミー資源循環「作って捨てる」から「使い続ける」へ資源を循環させるこれからのビジネスモデル「サーキュラーエコノミー」とは?

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