idea4u_vol60
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の中でコロナ禍に突入し、一気に大きな変化の波が押し寄せてきました。言うまでもなく、この影響は甚大で、コミュニケーション手段まで大きく変えましたよね。自分の中の教科書というか、「これが正解」という知識に頼れなくなりました。従来の知識や、対面コミュニケーションから始める展開、要は今までの経験が全く通用しなくなったということ。そこでグッとDXに振ったわけですが、利点も理解できて恩恵もあったものの、まだDXに振り回されている感覚に近い。メールやチャットだけでなく、いろんなコミュニケーションツールを使うようになって、相手や目的ごとに違うプラットフォームだったりするので大変!私はDXに強いほうだと思ってたのに、実際は振り回されているという…。 別視点の変化としては、いわゆる女性社員の活躍もありますが、掛け声に合わせて強引に女性を引き上げるやり方には違和感があるので、実質的にふさわしい方を登用することは必要です。現在は取締役会に女性メンバーがいない点も、すぐにはできないにしても考えていくべきですし、時代からズレないよう努めたいですね。今はさらにLGBTQという切り口も大切なので、労務関係を含めて新しい流れに沿うよう進めていきます。就業規則の中にLGBTQの項目を入れることも検討中です。男女というのを超えたような考え方を取り入れていきます。 昔の延長線上で仕事をするのが仕事ではなく、みんなが気持ちよく働けるよう整えるのが仕事だと意識するようになった私としては、「自分の時はこうだった」という話はしないようにしています。「私が若い頃は」「今どきの若いコは」といった表現はNGワードだと捉えています。 不二印刷からの社名変更、印刷、モノづくりに関しての思いとは? 2017年の社名変更は、社名に「印刷」が付くことで、仕事の範囲が狭まるのを避けるためでした。「印刷」は、紙の上にインクをのせる技術であって、生業ではありません。お客様の喜ぶ姿を見て一緒に喜べること、うれしく感じることが生業です。 利益の面で言うと、「印刷」というのは独自性はどの会社にも作れません。大手印刷企業が使うのも同じ印刷機なので、「印刷」だけで優位性を確保できないため、ソフトで勝負するしかない!「印刷」と掲げる限り、世の中が思う枠組みに押し込まれ、成長は見込めないと判断しました。社名変更から遡って4年前の2013年、ブランディングの第一人者指導 の元で進めた社内プロジェクトから、新たなコーポレートシンボルが誕生しま した。対外的なアピールのために始まったPJでしたが、1年かけて議論した結果得たのは、内側からの意識変革でした。うれしい誤算でしたね。 誤解のないよう補足すると、社名から「印刷」を外したのは、手段としての印刷から離れるためではありません。印刷機があるだけとは違い、モノを作るノウハウがあれば、その活用次第で利益が出る要素も広がります。ただ、単体では戦えないため複合型での勝負となり、後ろ盾は、印刷で培った有形無形の資産ということです。「印刷」は手段であり資産なのです。ここまで変化できたのは、小さな壁(課題)を一つずつ潰すやり方によるもの。少しずつなら、変化への心理的負担も少ないですよね。 急に「明日からこうします」と言うと抵抗感が先に出るところを、じわじわいくわけです。現場で当初抵抗感もあった新しい印刷機導入時には、「動かしてみたい」と思ってもらえるよう、あえてショールームのようにライティングにもこだわり、最先端イメージを発信して、対応メンバーのプライドを尊重した結果、動かすことがステイタスへと変化しました。工場にとって常識破りの提案もして、反論できる環境を整え、ちょっと無茶を言って落とし所を作るやり方です。「私はこう思います」「それは違う」といった反論ありきで合意点を探り ます。考える組織を目指して皆に考え続けてもらっていたら、自分がやる仕事がどんどん減り、私の働くスタンスも変わってきました。 デジタル、マーケティング、 ブランディング視点への思いは?  「当社はいろんなことができるのに、対外発信がうまくできてない」という思いがありました。後から「え?そんなこともできるんですか」と言われる歯がゆさからなんとか脱したい!私としては、ブランド力を高め、この会社で働くことにプライドをもってもらいたいのです。マーケティング戦略で振り返ると、15年ほど前には、カタログを積極的に受注しようとしていました。「カタログに強い不二印刷(当時)」が、実質的なブランド戦略でした。その後、「デジタル印刷といえば不二印刷(当時)」を目指し、印刷業界内で意識してデジタル印刷機のことを発信し、社名を言って印象付ける!狭い業界内ではありますが、デジタル印刷に強い!というイメージ戦略も意識してきま した。実際は、10年ぐらい苦しみながら試行錯誤してきて、ここ数年でようやく本格的に動き出した感覚です。今では、むしろお客様方にもこの内容を理解してもらう活動を重視しています。 ここにきて実感するのは、オウンドメ ディアとしてのIdea4U、Idea4U+が、ブ ランディング的イメージ戦略に役立っているということです。先にもふれたように、社内施策で始めたものの、対外的にはイメージアップに貢献しています。印刷だけじゃないよ、というところは、印象付けられま した。仕事につながるケースも数多くあり株式会社フジプラス 代表取締役社長 井戸 剛・ コーポレートシンボルの ●● の部分は対話から生まれるアイデアを表現したものです。・ まるい形は、どこがはじまりでも終わりでもなく互いに近付いても傷付け合うことはありません。むしろぶつかることで反応し合い、エネルギーを得て思わぬ効果をもたらすものと考えます。・ 「こうしたらどうだろう」という発想から、あらゆる手立てを適切に連携させると、感動をつくるプラスの循環が、動きはじめます。3Idea4U vol.602022 Winter

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