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企業2次流通のロイヤリティ購入者B著作権者11アーティストNFT発行+作品・チケット等NFTマーケット(販売プラットフォーム)図3■ スマートコントラクトは、契約のスムーズ な検証、執行、実行、交渉を意図したコンピュータプロトコル(規約・手順)である。■ NFTは、ブロックチェーン上で鑑定書や 所有証明書を記録し、固有の価値を持たせる非代替性のデジタルトークン (デジタル権利証)である。の“スマート”には自動的に実行されるという意味があり、スマートコントラクト=契約の自動化には、事前定義から決済に至るまで、一連の契約のスムーズな検証、執行、実行、交渉が狙いとしてあります。 提唱者のNick Szabo(ニック・スザボ)は、自動販売機を例に挙げて説明しております(図2)。自動販売機はスマートコントラクトの「契約の事前定義→条件入力→履行→決済」という一連の流れを全て自動化している点で分かりやすい例であり、これがいずれデジタルに制御されるさまざまな情報や資産に関わるプログラム実行への適用可能性があると示唆されていました。このスマートコントラクトのメリットとしては、仲介者(第三者)を介在しない「信頼性」や、取引の記録がブロックチェーン上で公開される「透明性」、手数料不要や手続きの時間短縮による「コスト削減」などが挙げられます。 ブロックチェーンとスマートコント ラクトには、DAO(=Decentralized Autonomous Organization)という共通の思想があります。DAOは、中央の管理者をもたないネットワーク型組織のことで、個々に自立したネットワーク参加者が自由に振る舞う中で、組織全体としての判断や意思決定、実行が自動的になされていくような組織形態です。こうしたブロックチェーンとスマートコントラクトの切っても切れない関係を理解するうえで、DAOという思想への理解は外せないでしょう。 デジタルデータは比較的コピーが容易な分野とされてきておりますが、ブロックチェーン技術を使って唯一無二な資産価値を付与し新たな売買市場を生み出そうと注目を浴びているのがNFTです。NFT(=Non-Fungible Token)は、ブロックチェーン上で鑑 定書や所有証明書を記録し、固有の価値を持たせる非代替性のデジタルトークン(デジタル権利証)のことです。 このNFTは、こうした固有性や資産性を持たせることができれば、取引が可能になります。取引内容はブロック チェーン上で公開されるので、誰にでも検証が可能であり、安全性の高い取引ができます。また、NFTは共通規格で発行・流通するため、複数のプラットフォームをまたいだデジタル コンテンツの利用を技術的に可能とするため、相互運用性が担保されます。あと、NFTは先程取り上げたスマートコントラクトを用いて実装可能なため、取引数量を制限したり、時間の経過とともに価値を上下させたりといったさまざまな機能を追加できます。 NFTが一番身近に使われはじめているのが「デジタルアート」です(図3)。 その名の通り、デジタルを使って作られた芸術作品ですが、ブロックチェーン 技術によってデジタルアートの偽造不可能な所有証明書を発行できるようになりました。これにより、デジタルアートに資産価値を生み出せるようになり、そのアートの所有者は誰か、所有者歴なども全て記録・確認することができます。この技術のおかげで、偽造等の無い正規のものが、オンラインのマーケットプレイス上で取引できるようになりました。 ブロックチェーン技術の登場で、近い将来、当たり前のインフラとして浸透するのが想像できるのではないでしょうか。金融、ポイント、資金調達、デジタル認証、資産管理、商流管理、コンテンツ管理などにおいて、この技術は次世代プラットフォームとなる可能性を持っております。まさに、ブロックチェーンが作る未来は、おそらく誰も否定できない公明正大な記録が透明性の高い社会をつくっていくことになるでしょう。(株式会社フジプラス) Idea4U vol.602022 WinterデジタルアートにおけるNFTの取引例NFT+作品等出品代金(仮想通貨)(仮想通貨)支払い(仮想通貨)NFT+作品譲渡・転売支払いNFT+作品購入者A■ブロックチェーンとNFTまとめ■ ブロックチェーンは、取引履歴を暗号技術によって過去から一本の鎖のよう につなげ、正確な取引履歴を維持しようとする技術である。

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