idea4u_vol58
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ブックを活用したり、新たにWebサイトを構築することで間口を広げる動きに変わったと聞いております。 そうなると、ダイレクトメールやカタ ログといった紙メディアは、これまで本当に費用に見合った使われ方がされてきたのかという疑問が浮かんできます。紙メディアは決して安価なものではありませんが、これまで予算があって続けることができました。ただ、リアルメディアの弱点は、人へのリーチや反応がすぐには分からない(取得できない)ところです。誰がいつ反応したかは、何らかの手段で必ずデジタルに戻すシナリオを用意しなければ、予算に対する効果(間接的効果などの中間成果)を測ることはできません。 これだけデジタルシフトしつつある いま、アフターデジタルを想定した人の行動シナリオを改めて見直す必要があるでしょう。多くの人がスマートフォンを持つようになり、ここまでインターネットを使った双方向のコミュニケーションが発達しているので、アフターデジタルを考えると一方通行とも言えるプッシュ型のメディアが淘汰されるのは当然かもしれません。■アフターデジタルで 求められる提供価値 コロナにより非接触な日常に対応する時、ビジネスにおける業務や営業、サービス、開発などあらゆる面での変化を求められました。いわゆるDX(デジタルトラン スフォーメーション)への取り組みが急務 とされるなか、単にデジタルへの置き換えだと機能しないこともお気づきではないでしょうか。アフターデジタルでの顧客との関係構築のためには、必ず新たな提供価値が必要になります。 スマートフォンアプリなどは、何らかのメリットがあるからインストールしますが、例えば単にポイント付与やクーポン 配布だけだと、よほど使用頻度が高くない限りすぐにアンインストールされてしまうでしょう。他にも、単にカタログ削減のためのスマホアプリによるデジタルカタログ配布であれば、よほどの利便性が無いと定着は難しいかもしれません。このように、単に「モノ」への置き換えでは難しいのです。 では、いかに提供価値、すなわち価値ある「コト」(しかも連続的な体験)を提供できるか。例えば、デジタル上では色々なデータを取得し蓄積しやすいですが、それを利用者にも何らかの形で還元できて「気づき」や「利益」をもたらすと良いかもしれません。具体的な例として、健康を気にする人に向けた配食サービスがアプリで提供されるとして、そこに健康状態等を登録できるようにしておくことで状況に合ったメニューが提案されたり、良い状態が維持・達成できれば賞が贈られたりする等、双方向でのコミュニケーションにもなるし利用者にとって大きな価値があります(図2)。他にも、デジタルカタログの配布の例だと、事業者側にとっては従来のカタログ印刷・配送コストの削減になるメリットがある一方、利用者にはコスト削減による還元は勿論のこと、商品やサービスなどにより利用者が思わぬ課題に気づき常に寄り添った形で解決しやすい工夫があるとそれが提供価値になります。 このように、アフターデジタルでは、最適なタイミングやコンテンツで顧客とコミュニケーションをとったり、自社やパートナーなどを巻き込んだ形での利用者との密接な顧客接点の構築などが求められます。それは、これまで顧客が味わったことのない体験をいかに価値として提供できるかが鍵となるでしょう。(株式会社フジプラス) フジプラスでは、アフターデジタルに対応するためのDXの取り組みを推進しております!DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、企業の取り巻く市場環境のデジタル化に対応するため、企業が行なうあらゆる活動やビジネスモデル、あるいは組織や文化、制度そのものを変革していく一連の取り組みのことをいいます。フジプラスでは、これから考える人のための「DX」読本をご用意しております。DXの基本的な考え方をふまえて編集しておりますので、是非ご参考いただければと思います。まとめ■アフターデジタルでは、リアルよりデジタルのコミュニケーション比率が高くなり変化していく。■コミュニケーションが変化することで、人の行動シナリオも変わり、これまで使われていたメディアも再定義しなければならなくなる。■単にデジタルの置き換えではなく、これまで味わったことのない顧客体験を価値として提供できるかが重要である。11Idea4U vol.582021 July

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