idea4u_vol57
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集。本作りの面白さを知った人が仲間に声をかけ、共に本を作る流れの構築が目的です。通常、印税の分配には膨大な事務作業が必要なところをシンプル化。ウェブ上の共有編集管理ページで、「データ本印税分配」「紙本印税分配」を自由に設定できるため、システムで設定さえすれば、印税の分配もBCCKSから直接、自動的に行われます。(通常、著書の還元率は10%程度、BCCKSの場合は最大70%)この共有編集の仕組みを提供することで、編集者・著者・デザイナーがタッグを組む文芸誌が増えていったのも頷けます。イベントを通じた表現の「場」から改めて紙の本の意味を考える 個人作家を応援するNPO法人HON.jpとの出会いから、BCCKS活用イベントの試みも継続中です。NovelJam(ノベルジャム)の名で展開する、編集者・著者・デザイナーがチームで小説の完成・販売までを目指す短期集中型の出版創作イベント。ジャムセッション(即興演奏)のように参加者が互いに刺激を得ながら、その場で作品を創り上げていくもので、2017~2019年で計4回、東京で開催されました。2020年には、新潟県の敬和学園大学主催で学生が立ち上げた阿賀北NovelJamをオンライン 開催。印税分配も主要電子書籍ストアへの配本も利用したイベントです。 書籍の形で読みやすさを提供するのがBCCKSの特徴であり、譲れないこだわりの1つ。紙の本を1冊から作れる仕組みが、本のカタチにする幸せ感をもたらします。「BCCKSでは、紙の本のニーズが圧倒的に高く、売上に占める割合は8割ほど。ここでしか買えない希少本、という扱いですね」との言葉にも納得。大手書店や図書館でも、取り扱われている書籍もあるそうです。BCCKSでは紙の本を購入した人が、届くまでの間に電子書籍を読むことも可能にしています。 作家志望の方が、自作をBCCKSで紙の本にし編集者に配ったことが、デビューのきっかけになった例も。電子書籍中心の活動だった方が、紙の本でチャンスを掴んだわけです。もともとSNSでファンを獲得していた方がBCCKSで大きく売り上げ、商業デビューに至った例もあるそう。カルチャーセンターの文章講座、専門学校や大学の文章表現の授業などで活用される一方、美術館が展覧会のカタログ等を作成するなど、リトルプレスとしての役割を果たすシーンも生まれています。また、オンデマンドならではの取り組みで、いとうせいこう氏の『親愛なる』や、鏡リュウジ氏の占い本など、ひとりひとり書籍の内容が異なる「パーソナライズド出版」という新たな分野も確立し、人気を博しました。世の中の「想い」やユーザー目線がアイデアをもたらし、表現の進化を後押し! 価値観も多様化し、本の概念自体も変化し続けていますが、自分の書いたものを形にしたい、良いコンテンツを広めていきたい、という本質は変わらない、というのが山本氏の持論。さらに、ユーザー側がBCCKSの新しい可能性を見出す流れにも、注目しているそうです。 そのひとつが、「特別な贈り物」という切り口。京都の料理店が惜しまれつつ閉店する際に、常連客の有志が寄稿しBCCKSで本にしたものを、サプライズで女将に贈ったそうです。一人ひとりの思いを込めた1冊の本を贈り物にする企画でした。実は自社でも、「卒業」する人に向け、社内で記念の本を作って贈るそうで、これも着想の元は同じでしょう。また、映像作品のもとになる原作をまずBCCKSで書籍として出版し、その後映像作品にするという試みも。著作物があれば、自らの権利を全て保持したまま映像化作品を展開できます。また、既に活躍中の作家さんが、スピンオフ作品発表の場として活用する例も。今後も形にしたいものがある著者のアイデアで、進化を遂げていくはずです。 注目すべきは、BCCKSは60~70代シニア層の利用も多い点。まとまった時間を使い、自らの物語を綴ったり知見をまとめるといった活用も広がりを見せていくでしょう。今でこそビジネスを語る際に、盛んにDXという表現が用いられますが、この言葉が生まれる遥か前に生まれたサービスは、まさに既成概念の枠を超えた画期的なもの。自発的なコンテンツ発信が良い循環をもたらすような、より手軽で便利なサービスとしての進化を願って、ますます期待が膨らみます。(株式会社フジプラス) 株式会社BCCKSのサービス概要については、こちらからご覧いただけます。 https://bccks.jp/about/bccks_make_dbまとめ■ だれでも表現し、公開し、販売できる、出版の概念を超えたWebサービスを展開。■ ユーザー起点の自由な発想が、紙の本の可能性や存在感を高め押し上げる。■ 「本」「出版」の既成概念を超え、活用シーンを広げながら進化中。[用語] 国際規格EPUBElectronic Publicationの略。2007年9月、国際電子出版フォーラムにより定められた電子書籍のファイルフォーマット規格。電子書籍の国際基準として、広く認識されている。フジプラスは、2010年より紙本の印刷・製本における パートナーとして、BCCKSをサポートしています。1株式会社BCCKS 代表取締役COO山本祐子氏 2BCCKSロゴ 3会員登録(無料)するだけで、簡単に本が作れる画期的サービス。 4BCCKSによって作られた作品たち様々なネーミング案が出たものの、最終的に「シンプルにBOOKSがいい」という話から。ただし、本の一般名称ということで、OをCに「開く」ことに。「閉じられた出版から開かれた出版へ」という思いを込めて、BCCKS(ブックス)となった。1243https://bccks.jp/3Idea4U vol.572021 May

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