idea4u_vol56
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せないピース」とイゴール氏。複雑なことを簡単に!という事業設計は、最もこだわり、かつ苦労した点だったそうです。手間がかかり、なかなか届かず、値段も高ければ無意味。難しい理屈は裏側で解決し、どんな方にもわかりやすく、ということが大切なのです。まさに、デジタルとフィジカルを融合させた、重要なDX事例と言えるでしょう。テクノロジーで実現できたこと子どもたちのためにできること 「主人公のキャラクターや物語の内容を選択できたり、お子さんの写真が絵本の中になじむよう自動的に加工されるのも、テクノロジーが可能にした感動体験です」とのコメント通り、パーソナル情報や、贈る側の思い・価値観を反映できるのが特長です。出生時間と場所(都道府県単位)を元に、オープンソースから主人公が生まれた時の星座を再現してストーリーに入れるのもこだわりの1つ。サイト上で簡単な入力をするだけのシームレスなオーダーは、デジタルのUI(※1)を意識したUX(※2)設計を体現したもので、より多くの方々を感動へと導きます。現状主人公は、男の子・女の子の2種類ですが、今後は肌の色や髪型、LGBT等の多様性への配慮は、世界進出に欠かせない優先課題として対応するとのこと。さらには、お子さんのアバターを作る技術も検討中、デジタルでは当たり前でも、紙では実現できていない分野への挑戦が続きます。 次世代のため、可能な限り環境に配慮した経済活動をするのは大人としての義務と考え、「読まれない絵本」が出ないオーダーメイド方式、絵本は環境に配慮した紙、お届け時のパッケージ内で直接絵本を包む素材はバイオマスプラスチックと徹底しました。環境へのインパクトは限定的でも、子どもたちに向け、環境にやさしいというブランドメッセージを発信する意味は大きく、お届け時に同封される「子供の未来に向けて」(※資料1参照)では、思いを丁寧に伝えています。さらに、一歩進んで、こんなアイデアも。世界には、絵本を読むことすらできない子どもたちも多く、自分が主人公になる姿は想像できない環境です。そんな子たちに何ができるかと考え、購入額に応じて絵本を寄付したり、一部を基金にするような、社会貢献活動も視野に入れているそうです。動き出すBUKIのブランドストーリー海外展開を含め思い描く未来展望 BUKIのパーソナライズ絵本を通じて、多くの子どもたちに新たな「感動体験」を届けることが先決で、今は1作品のみですが、絵本の種類を増やし、海外展開を含め絵本DXを進めるべく計画中。絵本はロングセラーも多く、供給側の新陳代謝が少ないままで良いのか、という問題提起でもあるそうです。「子どもたちに新たな価値観を与えるための、パーソナライズ、デジタル、直販といった私たちの絵本DXだけでは感動は限定されます。絵本は、色んな絵本があったほうがいい。ゆくゆくは機能を拡大し、著作権問題をクリアして、有名絵本をパーソナライズできたら…」と語る、ふくみCEO。業界の仕組みやルール等乗り越えるべき課題はあるものの、夢物語ではなさそうです。さらにその先にあるのが、絵本のフルDX。クリエイターが自由に絵本を作り、読み手の購入者が、編集時にパーソナライズ機能を使いオーダーメイドできるプラットフォームです。YouTuber等、だれでもクリエイターになれる時代に、その絵本版です。例えばインドの小さな村の女の子が作った絵本を日本の小学生が読むような、今まであり得なかった絵本の世界観も、近い将来、海外の翻訳機能等クロスボーダーでの困難を乗り越えていれば可能でしょう。 絵本は、子どもが最初に触れるメディア、しかも、デジタルには置き換えられないメディアです。手に取れる絵本があってはじめて、親子でコミュニケーションが取れること。それが、印刷された本の存在価値でしょう。子どもたちへの思いや愛情の形を、絵本DXによって進化させることで、世界中の子どもたちが笑顔になり、やがて自分の物語の主人公として歩む大人へと成長していく、明るい未来が想像できました。(株式会社フジプラス) 1(左)STUDIO BUKI株式会社 代表取締役(CEO)コズロブ ふくみ氏/コンサル会社やスタートアップ企業等でマーケティングを担当後、独立。2019年5月に会社を設立。プロダクト・マーケティング責任者。(右)ビジネス責任者 コズロブ イゴール氏/ベラルーシ出身。IT会社のデジタル戦略コンサルタントとして企業のDX推進を支援しつつ、STUDIO BUKIのビジネス戦略を担当。 2STUDIO BUKIロゴ 3PC、モバイルどちらからでも、手軽にパーソナライズ絵本を作成できる。 4だれもが物語の主人公になれる。1STUDIO BUKI 株式会社についての詳細は、こちらでご覧いただけます。  https://hellobuki.com/aboutまとめ■ テクノロジーが可能にした、徹底したパーソナライズ機能と「感動体験」。■ 次世代への責任として、環境にも配慮したブランドメッセージの発信も重視。■ 未来に向け羽ばたく絵本DXの進化 が、デジタル印刷の可能性を広げる。243(※1)UI=ユーザーインターフェース(※2)UX=ユーザーエクスペリエンスフジプラスは、「デジタル×紙」の可能性を広げるパートナーとして、STUDIO BUKIの絵本DXをサポートしています。https://hellobuki.com/社名のBUKIは、ブック(BOOK)とキッズ(KIDS)を組み合わせる発想から。何より、小さなお子さんたちにも発音しやすく、楽しい響きの言葉であることもこだわり。Uはドイツ語のÜで表現すると笑顔のように見えるため、上記のロゴに。3Idea4U vol.562021 March

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