事業ミッション/4つのサービス資料1JTB社内ベンチャー制度から飛び立った新規事業の軌跡 「会社設立は、JTBグループの社内ベンチャー制度がきっかけです。新規企業の開発をミッションとするチームに在籍していた私が立案し、1998年に役員会で承認され、2年のインキュベーション期間を経て2000年に始動しました」。当時、法人向けに研修プログラムを提案したり、メーカーの取引先の招待会開催用に、セミナーを企画したりと、旅行以外の提案も少しずつ増えていたことがアイデアの素になったそうです。お客様から「何か面白いことできないか」と相談され、全米催眠協会の資格を持つサイコセラピストを呼んで、「なぜ催眠が起こるのか」とい うセミナーを開催したことも。JTBとして旅行業に限らず幅広い提案をプラットフォーム化する発想から、福利厚生のアウトソーシングというアイデアが浮かんだそうです。 当時は、バブル崩壊の影響で、都銀保有の保養所売却が相次いでいました。企業として自前の厚生施設を持つのはタブー視されていった時代とはいえ、では社員の福利厚生は?という課題にJTBグループ一番の強みである契約宿泊施設で応えました。旅館・ホテルを保養所代わりに使うサービスです。保養所以外にスポーツクラブ等も、幅広く仕組みとして提案していきました。働く人々のニーズも多様化し、女性の社会進出も増えて育児という壁、高齢化の進行により介護という壁が浮上し、育児・介護が福利厚生の大きな課題となりました。比例して人事の業務負担も増えるものの、バブル崩壊の余波で人事のリソースは減少、そこに福利厚生のアウトソーシングがぴったりはまったのです。ただし、スタート時の現実は厳しかったとのこと。「若かったので、新規事業は、提案の中身さえ良ければ成功するものだと。多くの方々に助けられましたね」という言葉が印象的でした。社会の変化の本質に直結する4本の柱でのサービス展開 設立から間もなく20年を迎えようという2019年8月、会社として大きく動き出します。専門性の高いコンサルティング会社と資本提携及び戦略パートナー提携を結び、福利厚生サービスからEVP(※注1)に関わる事業領域も視野に入れる中で、対象領域を絞りこみ、①EVP ②福利厚生 ③健康支援 ④組織活性化 の4本柱でのサービス展開となりました(※資料1参照)。そして迎えた2020年、福利厚生で最も利用されていた旅行が、コロナ禍で壊滅的な事態に。移動制限による影響は甚大で、提供内容の再構築を余儀なくされます。リモートワーカーが増え、出社前提の仕組みで対応できないため、新サービスが登場。従来の総合福利厚生サービスに、リモートワーカー向け食事補助サービスをプラスした、「リモート社食withえらべる倶楽部」です。自宅近くのコンビニやレストランを社食代わりに利用できる、というもの。また、「巣ごもり」生活の中でオンラインセミナーにも注力し、ライザップと組んだ運動不足対策や、不安解消に資産形成セミナー企画も。こうした体験型とは別に、地域応援の産直野菜やご当地グルメのお取り寄せも好評だったそうです。「今できること」を提供し続け、信頼を得る大切さを実感しました。 一方、コロナ禍でコミュニケーションの難しさという課題が浮き彫りに。以前から兆しはあったものの、リモートワークで一気に顕在化した格好です。従業員のコンディションを可視化する仕組みはなく、評価面談を行っても対話不足、一方的な人急速に進むパラダイムシフト価値観の大転換期を迎えた今従業員への「価値提供」が企業発展のカギ組織にとって「働く人」は財産であり、パフォーマンスの最大化が組織の成長につながるという考えのもと、「働く人」の満足を引き出す環境づくりを提案し続ける、株式会社JTBベネフィット。価値観やライフスタイルの変化によって、働く意味合いも個別化、多様化の一途をたどっています。図らずも2020年は、多くの人々が生き方、働き方、社会との関わり方を模索し続けた1年でした。別角度から見ると、従業員が企業を選ぶ時代の本格始動とも言えるでしょう。そんな今だからこそ必要な視点や考え方について、会社設立時の中心メンバーでもある取締役執行役員 田中宏和氏にお話を伺いました。(※注1)EVPとはEmployee Value Propositionの略。企業が従業員に対して提供できる価値のこと。事業ミッション 組織と働くひとの最適・快適をデザインし、EVPを創造する。①EVP④組織活性化②福利厚生③健康支援 働く一人ひとりの人生を、より豊かにする4つのサービス2Idea4U vol.542020 November
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