idea4u_vol52
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社会やコミュニケーション手段の変化と社葬・お別れの会という「場」の重要性  危機管理とはいえ、重要な方がお亡くなりになる想定なので繊細な話です。起きる確率が100%でない災害については積極的に話せる一方、人には必ず寿命があって人的損失は確実なのに準備が進まないのはそうした理由です。個人では60代で「終活」への関心も高く終活セミナーも盛況ですが、経営者となると話は別。事業承継のように、タブーだった表現も、円滑に次代に引き継ぐという経営課題に直結することで注目され、受け止め方も変わりました。今や、オーナー企業で同族承継(広く姻戚関係を含めても全体の4割を切る)できないケースも増え、経営者の人的損失対策として受け入れられた結果です。 社会の変化という点で、新型コロナウイルスの影響は甚大です。経済的打撃のみならず、「集まってはいけない」という、生活や行動に直接影響が及ぶ事態は未知の領域です。コミュニケーション の本質を問われ、さらに非接触への流れの中で、デジタル化の加速はご承知の通り。そこで、6月初旬に法人営業推進部として「コロナ禍における弔事の対応」と題したオン ラインセミナーを開催しました。新規のお客様との接点は、対面での各種セミナーが中心でしたが、接点創出のための新たな試みでした。With コロナの生活様式の中で、お別れの会・社葬の形も変わるでしょうが、ここで改めて、オンライン・対面に関わらず弔う気持ちが大切であり、「場」の提供など省略してはいけない部分が明確に。当たり前だった対面でのお別れの会・社葬は、これまで以上に貴重な場になるわけです。これは個人の事例ですが、コロナ禍で海外から帰国できないお孫さんのため、親族の希望で葬儀のオンライン中継を実施したそうです。これは、法人でも対応可能な例で、何らかの事情で移動できない方にやさしい「参列」が実現できます。ちなみに、緊急事態宣言でテレワークが一気に進み、実務面でも変化があったのだとか。「私たちがアプローチする総務・秘書の方々もテレワークの方も増えつつあるので、オンラ インによる面談を導入するなど変化に対応しております」。企業文化発信の場でもある法人葬の未来展望について お別れの会・社葬の意義として、故人への謝意、遺族への弔意を示す点では同じ です。葬送文化が姿を変えつつある中、企業オーナーでも家族葬を選ぶ方が増えた結果、関係者や取引先、ご友人を呼べない状況にあり、多くの方が弔意を表す場を失います。また、以前は中小企業を中心に、数百名規模の合同葬(企業+親族)をされることが多かったのですが、こちらも家族葬への移行が進み、弔意を表す場を失うと共に、次代の方向性を示す機会を逸することで、事業継承の面でも問題です。「オーナーが亡くなったのにお別れの会・社葬もない。あの会社、大丈夫なのか」という不安につながり ます。逆に言うと、お別れの会・社葬によって故人を敬い、弔意を示したい方に配慮を示すことができれば「きちんとした対応だから、今後も大丈夫だろう」という評価になるでしょう。先の事業承継の件でも、今後は中小企業こそ法人葬の重要度が増すのは確実です。「『場』の重要性の発信は、年間200件以上のお別れの会・社葬を扱うリー ディングカンパニーとしての責務だと思っています。この先何年経っても、そうありたいですね」と力説されました。 価値観や葬送文化が変化する中で理想の法人葬のためには、事前の信頼関係構築が何より大切です。総務や秘書の方がご遺族に適切な提案ができるようサポートするプロとして、専門の葬祭ディレクターが多数在籍されている理由もそこにあります。1級葬祭ディレクター山本敦史氏によると「打合せでは、『お別れの会の会場は、企業文化を伝える場』と説明しています。祭壇にコーポレートカラーをあしらう、ロゴを入れる、オーナーが好きだった風景を反映する等、表現を具体化するため対話を重ねます。常に良きパートナーでありたいですね」と。ツールや手段でデジタル化が進んでも、最後は、人と人との大切なつながりということでしょう。 コロナ禍で、有名コメディアンが亡くなった時、だれもがショックを受けました。あれだけ功績を残した方さえ弔うことができない悲しさは、心の痛みとして記憶されました。先が見通せないWithコロナ時代に、新型ウィルスによってもたらされた価値観の転換が、皮肉にも法人葬のあり方を再定義するきっかけになるとは!後世になり、「2020年が分岐点だった」と振り返る時代がくるかもしれません。(株式会社フジプラス) 1株式会社 公益社 大阪本社 法人営業推進部長 秋森省二氏 2社葬実績例:日清食品創業者 安藤百福氏 31級葬祭ディレクター(厚生労働省認定・葬祭ディレクター 技能審査制度) 山本敦史氏株式会社 公益社 についての詳細は、こちらでご覧いただけます。https://www.koekisha.co.jp/まとめ■業界のパイオニアとして、危機管理の視点で「人的損失」に対する備えの重要性を発信。■今やお別れの会・社葬は、事業承継との兼ね合いで、特に中小企業が注目すべき。■Withコロナ時代は、既存のものを再定義するチャンスとしてとらえることも大切。2312007年2月27日(於:京セラドーム大阪)日清食品主催・公益社による施行葬儀委員長:中曽根元首相参列者:約6,500名社葬のコンセプト:「安藤会長を宇宙にお送りする」イメージの宇宙葬演出:読経とシンセサイザーの生演奏「葬祭のプロ」としての長年の経験から、弔事マナーやお別れの会体験等の各種セミナーや法人葬に関する個別の相談等でアドバイスを実践。3Idea4U vol.522020 July

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