idea4u_vol51
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従来の「常識」に疑問が生じます。ロジカルシンキングが必要な仕事は午前、クリエイティブ系は午後のほうが向いているという脳科学的検証結果があるにも関わらず、管理の都合上、勤務時間が一律なのがその例。「みんな同じというのは、生産社会の構造で、現在の創造社会には当てはまりません」。さらに、「今、日本の就労者人口の中で最多の40代中盤が、日本の未来を決めるというのが持論です」とも。過去にとらわれず、次世代にどんな文化を伝えていけるのか…。経験から本質部分だけ助言できても、時代は変化しているためノウハウは過去のものです。だからこそ、その本質だけを伝え、前例のないことだらけの中で、若手が自ら考える力を身に付ける手助けが必要なのです。「同時に、若手に歩み寄る勇気をもつことも大切。最近多くなった文字ベースのやり取りには想像力が必要なので、絵文字やスタンプを使いこなす彼らの方法を学ぶのも一つです」。こうして世代を超えた文化交流が進み、ヒエラルキー型から世代に依存しないフラットな関係に近づくと、良い伝承をもたらす文化融合が期待できます。 もう一つの視点は、働く時間と場所は自由であるべき、その選択権は社員・従業員側にあるべき、というもの。成果主義、アウトプットが全てという評価になると、会社は成果を出すのに最適な環境を用意し、雇われる側が働く時間と場所を選ぶのが当たり前、となるわけです。これこそが多様性を取り入れるということ。多様性というと、人種だ文化だと大きい話になりがちですが、食べ物の好みと同じです。私はこれが好き、あなたはこれが好き。人に好みを押し付けない、という話なのです。この考えが進むと、「時間の壁」に加え「距離の壁」も越えることも可能です。例えば東京の会社に所属したまま、北海道の仕事もできるような。多様性を受け入れることで、PCさえあればパラレルワークで複数の収入源が持てる、労働力不足を補う手段にできる、といったメリットが生まれます。イノベーションが加速し世界は新たな価値観に向かう 未来に向けての抱負を伺うと、「日本HPの考え方はとてもシンプル。注目する4つのメガトレンド(地球単位の動向)に対応するテクノロジーが、投資の対象です」とのお答え。①「急速な都市化」②「人口動態の変化」、③「超グローバル化」、④「加速するイノベーション」というメガトレンドに向けて何ができるか、開発されたものを世の中にどう浸透させるか、が重要です。例えば、切り口の1つとしてZ世代(1995年以降生まれ ※諸説あり)の価値観を分析すると、より「個」に向かうパーソナライゼーション傾向や、地球環境持続への貢献ニーズが見えてきます。今後世界的に多くの人口を占めていくZ世代も日本では少数派のため、ローカル実情に合わせた最適化も必要ですが、環境保護や循環型社会の創生は世界的流れであり、「超グローバル化」の中で存在感を増すZ世代への対応は急務なのです。 現在のコロナ禍において、「afterコロナ」の前にしばらく続く「withコロナ」期間に、働き方の再定義を!ということでしょう。未来が不透明な中で唯一はっきり見えてきたのは、以前の世界には戻らない、という事実。「働く=会社に行く」の時代は終わりました。同じ時間にみんなが密な場所に集まる前提ではなくなったのです。社内打合せも、お客様との商談も、直接会わなくてもWEB会議で対応できると知った今、必要なコミュニケーション スキルも変わり、それ以上にリーダーシップの意味も変わってきました。「多様な人が多様な形で仕事をする中では、ステレオタイプの強力なリーダーシップとは別の、ゴールを共有して積極的に関与しながらも、他者を支援していく意味合いが中心になるでしょうね」。自ら考え動く能力が必要とされる今、多様性という視点がますます重要です。学術的にも、イノベーションは多様性の中からしか生まれない!と言われる通り、私たちは、時代に試されているのかもしれません。今こそ、しっかり前を向いて、新しい世界を切り開き変革すべき時なのでしょう。(株式会社フジプラス) 1株式会社 日本HP 経営企画本部 マーケティング推進部 部長 甲斐博一氏 2日本HPによる新しい働き方提案の法人向けPCプロモ―ション事例(2017年)。SNSを活用したことで話題に。動画コンテンツより引用。 3地球規模の大きなうねりとしての、4つのメガトレンド。これをベースにマーケティング戦略を決定。株式会社 日本HPについての詳細は、こちらでご覧いただけます。https://www8.hp.com/jp/ja/hp-information/ まとめ■ 未来を正しくとらえ過去にとらわれず、テクノロジーによって多様な働き方が実現する。■ 「働く時間と場所の自由」という発想が、テレワーク浸透によって広がり未来をもたらす。■ 今もこれからも、世代間の融合と多様性が、イノベーションを加速させる原動力になる。231「#1時間勤務」というキャッチーな言葉と未来をイメージしやすいストーリーで展開。4つのメガトレンド 【出典元】[※注1]PC出荷台数/IDC Quarterly Personal Computing Device Tracker,2019Q4 Share急速な都市化(Rapid Urbanization)超グローバル化(Hyper Globalization)人口動態の変化(Changing Demographics)加速するイノベーション(Accelerated Innovation)3Idea4U vol.512020 May

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