コミュニケーション・プランニングの思考フロー資料11. 「伝える」プロとして迷いなし 決して譲れないもの 連載の初回は、全体像の説明から。まず、「伝える」プロとして大切にして いることの1つが、「伝える」という言葉の定義です。感覚的に理解していただくために、該当する英単語を引用してみましょう。「伝える」と聞くと、一般的にはtellが思い浮かぶかもしれませんが、私たちがビジネスとして実践している「伝える」は、ずばりCommunicate(Communicationの名詞形)だと考えています。「共に」の意味を持つ接頭語Coで始まるこちら、伝えた相手に共感してもらう目的があるニュアンスがぴったりなのです。例えば、次の2つの文を比べるとよくわかります。①「調査結果を早く伝えなければ!」②「この気持ちをちゃんと伝えたい」どうでしょう。①は単に事実として知らせるイメージ、②はその先に理解、共感を期待するエモーショナルなニュアンスが含まれています。 共感を期待して「伝える」ためのプロセスを簡単に図式化すると、右記の資料1の通り。私たちが対応するメニューの中で、この思考フローを経て正しく「伝える」ためのプラン二ング要素を含む具体的アウトプットは、ぺルソナ設定、販促シナリオ設計、CI、取材・インタビュー、コピーライティング等、様々です。これらは一見バラバラで、性質の異なるコンテンツだと感じられるかもしれません。しかし資料1から分かるように、共感を引き出すために「伝える」ミッションを背負ったコンテンツであり、 その先にお客様の満足・納得(=好ましい結果)が得られてこそ評価されるもの、という共通点が明確。いずれも十分な下調べをして課題に目星をつけた上でヒアリングを行い、質問で切り込みながら知りたい情報を引き出します。ここが最もコミュニケーション能力を発揮できるステップですね。そうして得た情報から必要な事実を抽出し整理・分析して枠組みを作り、キーワードを絞り込んだら、それを柱に、伝えたい相手にふさわしい表現や手法を選び発信することでいったんゴールです。(※今回は概要ですので、その先のリアクションや結果への対応については、ここでは省略します。)2. 地道な情報収集が全て! まさに「継続は力なり」 長年プランニングに携わっていると、時々こんな質問を受けます。「この企画、どうやってひらめいたのですか?」「どんなタイミングでアイデアが降りてくるのですか?」等々。そのたびにこう答えざるを得ません。「残念ながら、ひらめきませんし、降りてもきません」。実のところ、事前にインプットしてストックした情報を、記憶の棚から選んで眺めていて「これとこれを組合せたらいいかも?」と気付くだけの話。この気付きが、次の行動への起点となっている、というのが実際のところです。 気付きの元となる地道な情報収集については(P9資料2参照)、第一歩は、選り好みをせず雑多な情報も貪欲に食べ尽くすことです。最初から慎重になると、情報に偏りが生じ、視野が狭くなるからです。大量の情報で満腹になったら、最初のフィルターへ。必要かどうかの基準の網目でふるいにかけ、必要ないもデジタル時代に突入して以来、私たちは「情報の洪水」の中で日々過ごしています。一説には、現代人が1日に接する情報量は、江戸時代の1年分とも言われるほど。そんな中、適切に情報を取捨選択し、合理的に活用するのは至難の業です。情報をわかりやすく伝え、生活者とモノ・サービスをつなぐ役割を担うフジプラス。私たちが扱うのは、単に処理するだけの情報でなく、クリエイティブ・フィルターを通してやり取りする付加価値情報です。素材をどう捌き、味付けし、盛り付けて、お客様に「おいしい」と満足してもらえるのか。ある時、料理にも似た感覚だと気付きました。本連載では、その味を決める鍵となる、コミュニケーション・プランニングという発想から、知っておくと便利な考え方について発信していきます。事前に必要な情報を集める。ある程度の「量」と一定以上の「質」をクリアすること。いかに情報を引き出すか、という観点から質問を準備してヒアリングにのぞむ。収集した情報をつなぎ合わせ整理した上で分析し、ふさわしいキーワードを抽出。伝えたいターゲットに、わかりやすい表現と手法で、共感してもらうための発信。リサーチヒアリングプランニングコンテンツ調べる聴く考える伝える8Idea4U vol.492020 Januaryコミュニケーション・プランニング発想って?❶正しく「伝える」ということの意味知れば納得!3つのポイント
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