idea4u_vol46
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性別、民族、障がいの有無を超えた新時代のユニバーサルファッションの意義はもちろん、国を超えた連携の可能性を体感したことで、未来の発信者となっていくはずです。誰もが自分事として受け止めて初めてユニバーサルな社会へと向かう さて、神戸芸術工科大という名称は、人間を工学的に客観的に見た上で、アートやデザインという手段でもって快適にする、というあり方を示すものです。これを、実社会に当てはめると、使う人の将来の生活が見え、笑顔が想像できる商品やサービスにつながるでしょう。「例えば、ユニバーサルファッションの志だけでは成り立ちません。その志を胸に、商品化や仕組み作りをするビジネスにつなげて初めてユニバーサル社会の実現ができるのです」と力説されます。今や、シニアマーケティングが脚光を浴び、シニア向けグッズやサービスの情報発信も盛んですが、当事者を十分理解せず進めて失敗するケースも。表層的、客観的に見てわかった気になっているのも原因のひとつ。何がどう良くなる(快適・便利になる)かを考える時、目の前の事実に想像力を少々プラスする(自分の未来の姿を想像する)だけでも違います。ビジネスに限らず、高齢化に付随する課題を、全世代的課題として受け止める社会でありたいものです。そのためにも、世代間交流の拡大が求められ、ユニバーサルファッションも、今後の社会を考えるキーワードに浮上してくるはずです。先に述べた通り、ファッションは「衣食住遊」のライフスタイル全般を示す言葉であり、どうすれば誰れもがユニバーサルな暮らしを実現できるか追求すると、高齢者にも優しい社会になる、というシンプルなお話かもしれません。既成概念を見直す好機!「産官学民」連携で新たな価値を創る 「今こそ、企業が人々の暮らしにどうアプローチしてきたかを振り返り、市民目線で考え直すべきタイミングです」。長年研究を続けてこられた見寺教授の言葉だからこそ心に響きます。今の日本では、モノの品質が良くてかっこいいのは当たり前との認識なので、選ばれるには物語が必要です。さらに、具体的なベネフィットを、直感的にイメージできることも。売れない!困った!と言う前に、目に見えない「価値感」を買っていただく方法を考えるべきなのです。生活を快適にするために、デザインが解決できることは何か、使った人が得るものは何かを考えた商品化です。課題が明確なものはデザインで解決でき、その商品は感覚的に「良いもの」と認識され、買われていくのです。 「産官学民の中の『学』に関わる立場から、さらに言えるとすれば…」という前置きで語っていただいた内容も印象的でした。大学を含め、教育として実践することは、あくまでもモデルケースであり、社会で起きている現実を目の当たりにした時に、モデルケースとして学んだことを具体的にどう生かせるのか考え、企業や自治体(産/官)や市民と協力して何かを成し遂げてこそ意味があると。大学も、企業も、地域(自治体)も、自分たちの枠組みの中だけで考えると、判断を誤ってしまいがちです。単独でできることは限られるので、それぞれの立場で自らの専門性を生かし、専門家同士の連携として大きな成果につなげる大切さを理解しました。「連携で成し遂げたものから派生する『その次』までイメージして動くと、より理想的です。何らかの施策で、あらゆる方が生きがいを見つけ、地域社会での自分の役割を発見し、地域社会と関わるまでを後押ししていきたい」と語る見寺教授。ファッション、デザインという切り口が、生き方までもユニバーサルに進化させるという事実を、しなやかでありながらパワフルに語る見寺教授は、さらにその先を見据えていらっしゃいました。(株式会社フジプラス)まとめ1見寺貞子(みてら さだこ) 大学院芸術工学専攻主任/教授 大学院/ファッションデザイン学科 [2~4は北京にて] 2シンポジウムでの講演 3日本の着物や帯の リメイク作品一例 4ショーという形で情報発信 5デザイン・クリエイティブセンター神戸「KIITO」でもリメイクの楽しさを発信中12354神戸芸術工科大についての詳細は、こちらでご覧いただけます。https://www.kobe-du.ac.jp/■ ファッション都市宣言をした街・神戸、大震災を経験した街・神戸から発信し続けることの大切さ。■ ファッションという言葉は、服飾だけでなく、ライフスタイル全般を示す表現 として扱うのが正解。■ これからは、産官学民の垣根を超えた連携、国境を越えた連携が、社会的課題解決のカギを握る。3Idea4U vol.462019 July

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