idea4u_vol43
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当時の代表作の一例資料数々の運命の巡り合わせの中で育まれてきた文化的な香り 後に創業者となる矢部外次郎氏は、金沢から大阪に出向き、印刷、製本、書籍出版・販売を行う福音社に入社。時は明治、ヨーロッパ文化がまだ珍しい時代に、福音社が手がけた日本最初のキリスト教定期刊行物は、宗教的な内容以外にも小説や文化を伝える貴重な媒体でした。外次郎氏はその後、矢部晴雲堂を開業しますが、ほどなく福音社の社主が亡くなり、その暖簾を受け継ぐことに。これを機に、卸や出版にも携わるようになり、徐々に規模も拡大していきます。そん な折、1923年(大正12年)に関東大震災が発生。東京に集中していた出版界が壊滅的状態になって危機感が高まり、結果、大阪での出版活動が本格化、出版部門として創元社を創立します。特に文芸分野では、谷崎潤一郎『春琴抄』、川端康成『雪国』、大阪ゆかりの織田作之助『夫婦善哉』等、美しい装丁の本が話題を呼び、人気を博しました(右記資料参照)。1941年に日本出版配給(株)に併合されて、福音社の歴史は幕を下ろしますが、戦後は創元社として、一般教養書や大学の教科書を中心に文芸書等で再出発。その後も、変化し続ける読者ニーズと時代の波をとらえながら、現在に至っています。専門書とビジュアル本を中心に一貫してロングセラーにこだわる 激動の歴史に翻弄されながらも時代に寄り添い、柔軟な思考で前進する姿勢は、脈々と受け継がれてきました。過去に縛られず新しいものに目を向け、ベストセラーよりもロングセラーを!という明確な方針で、出版を基軸にセミナー事業、学会事務局運営、書籍販売といった事業を展開されています。創元社の理念は、「良書永読、読者第一」。現在の創元社を率いる矢部敬一社長によって約20年前に掲げられたものです。「良いコンテンツを、長く発信するのが我々の基本スタンスで、それも読者のためにあるべきという考え方」とのことです。その言葉通り、創元社の出版物の特長の1つが、長く愛される書籍の多さ。代表格が、邦訳500万部突破(2019年1月現在)の歴史的ロングセラー『人を動かす』(D.カーネギー)です。人づきあいの根本原則について語られた実践的な内容は、時代を越えて読み継がれています。 もともとキリスト教関連書をはじめ、人文科学系の分野、特に心理学関連書も多かったのですが、心理学の第一人者であった河合隼雄先生が関西拠点で活躍されたご縁もあって、臨床心理学に関する専門書の出版も多数。地元大阪に根差した書籍もまた、メインに据えているカテゴリーの1つです。また、一般教養書にビジュアルを加えて親しみやすく工夫し、新たな読者層への発信を行ったところ手応えが得られたため、大型化してビジュアル度を高める動きにもつながりました。さらに自然科学系分野も加えて、図鑑のようにビジュアル中心の書籍の充実も図っているとのこと。最近では、電子書籍として、同コンテンツを異なるメディア経由で基本を忘れず変化を恐れず大阪拠点の出版社としての歴史を携え専門分野を極めて歩みつづける!1892年(明治25年)創業の矢部晴雲堂という書籍小売店に始まり、現在に至るまで、大阪拠点の出版社として長い歴史を刻んできた株式会社創元社。『人を動かす』に代表されるカーネギーシリーズをはじめ、主に心理学等の人文科学系書籍を中心にしながら、大阪、関西に関わる書籍も手がけています。「ベストセラーよりロングセラーを」の精神で、大阪から情報発信し、基本に忠実でありながら時代の変化にも敏感であり続ける極意を探ります。今なお広く知られた名作の数々が並びます。装丁デザインも、個性的なものがそろっています。谷崎潤一郎『春琴抄』川端康成『雪国』谷崎潤一郎『芦刈』織田作之助『夫婦善哉』中原中也『在りし日の歌』2Idea4U vol.432019 January

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