idea4u_vol.32
2/12

2Idea4U vol.322017 March「ほかに代わりがない」ことの重みと「断らない」という事業のあり方 高齢者の方々が夢と生きがいを持って暮らしていけるよう、「食」を基本にトータルなアフターケアプランの事業展開を行う株式会社シニアライフクリエイト。前身となる会社が産声を上げたのは、折しも2000年の介護保険スタート前夜、1999年。もともと、高橋代表が塾講師とかけもちで働いていた弁当店では、病院食対応も請け負っていました。ところが、経営者が高齢を理由に廃業することに。困る人々のことを考えるとやり切れず、自ら会社を立ち上げ、高齢者向け宅配弁当ビジネススタートに至ったという。「ほかに代わりがない!という切実さが、背中を押した格好です。ですから、普通なら非効率だと断るケースでも断りません。地方の過疎地では、ひと山越えてでも行きますよ」。 現在は、宅配弁当の「宅配クック123」 と施設向け食材卸の「特助くん」、2本柱 による事業展開(資料1参照)ですが、売 り上げベースで8:2。この数字は、在宅の一人暮らしでもマンションでも高齢者施設でも同じサービスを提供する! という目標に近づくほど、その割合も変わるという見込みのようです。お弁当を届けることから始まる!「宅配クック123」だからできること 事業のメインを担うのは、「宅配クック 123」フランチャイズ本部の運営です。 この123(ワン・ツゥ・スリー)というのは、 「向こう3軒両隣」といった意味合いから。昔から、ご近所付き合いで当たり前のように安否を気遣う間柄を、象徴的に表現したものです。「いつもは庭いじりをしているお隣さんの姿が見えない時、ちょっと様子を見に行くようなご近所付き合いの代わりができたら、という思いで付けました」と語る高橋代表。宅配は昼と夜の1日2回。栄養バランスを考えたメニューのお弁当を届けると同時に、言葉を交わして生活の様子を確認する時間を、少なくとも1分間持つこと(1分サービス)を基本にされています。 「通常、弁当屋の目的は弁当を売ることですが、『宅配クック123』では、弁当はあくまでも手段、目的はお客様の安否確認です」という言葉が心に響きます。弁当という手段が増えるほど目的達成率は高まるので、そのために弁当を売っている、と。軸がブレないよう、スタッフ全員が思いを共有する大切さを実感します。 「1分サービス」で知り得た情報は、ささいなことでもご家族やケアマネージャーに報告。これこそが最も重要な役割です。毎日顔を合わせるからこそ、小さなサインも見逃しません。また、認知症のお客様への対応のため、全国の加盟店に対し、認知症サポーター講座の受講によるオレンジリング(資料2参照)取得を推進。対応の際は、「みほこさん」が合言葉。み=認める、ほ=褒める、こ=肯定する、さん=賛同する、を認知症の方への基本姿勢として徹底しています。間違った初動が、思わぬトラブルや事故につながるため、責任云々の前に道義的な見地から力を入れているそうです。厚生労働省が推進する「認知症サポーター養成講座」の受講修了者の証「オレンジリング」。宅配クック123でも多くのスタッフが修了し、サポートに役立てています。宅配クック123高齢者専門弁当宅配サービスフランチャイズ本部特助くん高齢者施設向け食材卸事業事業の2本柱資料1資料2オレンジリング 高齢者問題を語るいくつかのキーワードの中で、「食」は重要度の高いもの。日々の食生活が、高齢者の心と体の健康に大きく関わっている、と言っても過言ではありま せん。「食」を起点にしたつながりを丁寧に紡ぐことから生まれる信頼、安心。ごく当たり前のことを見直すことで、超高齢社会の日本を幸せにするポイントが見えてきます。豊かに暮らせる環境づくりを目指す人と人とでつながる未来「食」を通じた高齢者サポート最前線

元のページ  ../index.html#2

このブックを見る