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4Idea4U vol.272016 May 紙に代わる情報伝達手段として注目されている電子書籍。まだ普及の途上にあるが、利用者数は無視できない程になった。電子書籍のメリットと活用方法を探る。 ある日の夕方、会社員A氏は困っていた。翌朝提出する企画書を作成していたところ、参考文献として5年前に出版された本が必要となった。だが書店に在庫があるかわからない。書店を探し回る時間もない。 どうするかと考えて思いついたのが、電子書籍であった。ネットで検索したらすぐに見つかり、パソコンにダウンロード。必要なところを読んで、数時間後には企画書ができ上がった。 本・雑誌の紙媒体は、読者の手に届くまでに、印刷・製本、流通の過程があり、売れ残った場合は保管する場所も必要となり、それらの経費がかかる。 電子書籍はサーバーにあるデータをダウンロードするだけなので、印刷・製本、流通の手間や経費がかからない。 出版社は浮いた経費の分を取材やデザインにまわせる。 さらに、「この本を出版して採算が取れるのか」という不安も軽減される。 読者は、欲しい本をいつでも手軽に入手できる。書店がないところでも、本を買うことができる。データが存在する限り、何年前に出版された本でも購入できる。 電子書籍は、時間や空間を超えて利用できるのだ。 2014年度末の日本国内での出版物販売総額1兆6,065億円のうち電子書籍の販売総額は1,266億円を占めている。まだ1割に満たないが、史上初めて1,000億円を突破した(インプレス総合研究所『電子書籍ビジネス調査報告書2015』) 。 株式会社ジャストシステムが15~69歳の1,100人を対象に毎月1回実施している「モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査」では、2015年1月の電子書籍の利用率は18.5%、12月は19.0%とほぼ横ばいで推移した。一方、7割近くが電子書籍に関心がないと答えている。 まだ電子書籍の普及が進んでいるとは言えない。その理由としては、プラットフォーム(Amazonや楽天などの販売しているストア)の乱立や、販売点数が少ないことなどが考えられる。 だが、アンケート参加者の約2割も電子書籍を利用しており、無視できる存在ではないだろう。 電子書籍のデータ形式はPDF、EPUB、Mobi、AZWなどがあり、多くは、プラットフォームで販売されている専用リーダーや、パソコン、スマホ、タブレットにダウンロードした専用アプリで読まれている。 電子書籍を作れるのは大手出版社だけではない。制作からストアでの販売まで代行する業者もある。Amazonでは個人が電子書籍をアップして販売できるサービスを行っている。 これらは販売サイトを通じて配信される書籍についてであって、PDFファイルならば比較的容易に作成でき、専用リーダーもアプリがなくても、パソコンやスマホで読める。 電子書籍を利用するビジネスはすでに始まっている。電子書籍自体の出版事業 Amazon、楽天などのストア以外に、多くの大手出版社は、自社サイトで雑誌の電子版を販売している。IT企業と共同でスマホ向けの女性ファッション雑誌をつくっている出版社もある。 携帯電話各社は月額400円から500円の定額で100誌以上の雑誌がスマホで読み放題になるサービスを行っている。 電子版のみの雑誌もある。通信機器販売会社やIT企業が設立した電子雑誌の制作会社は、WEB上で月刊の旅行雑誌を発行している。毎号、表紙とインタビューに有名な女優が登場し、他の記事もプロのライターが書いたもの。紙面レイアウトはプロのデザイナーが手がけ、書店に並んでいる雑誌と遜色のないレベルだ。旅館リストのページもあり、旅館名をクリックすると、部屋や施設の紹介が見られる。さらに、その旅館のサイトへのリンクがあって、宿泊予約もできる。 紙媒体から電子版に移行したパソコン雑誌やマンガ雑誌もある。休刊した歴史雑誌のバックナンバーから厳選した記事を電子化して配信しているケースもある。日本の電子書籍の現状ビジネスでの利用実例発行者と読者双方にメリットネットを使ったビジネスの本質を探る時空を超えて利用できる電子書籍ネット活用の真髄

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