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4Idea4U vol.262016 March ビジネスに欠かせない事業資金には、銀行からの融資である間接資金、株式の増資や社債の直接資金がある。銀行の融資には厳しい審査があり担保が必要なことも。増資や社債は手続きが煩雑だ。 だが現在、従来の資金調達方法の他に、ネットを使った新たな資金集めが行われている。 インターネットによって人と人が直接つながるようになった。ビジネスの資金調達においても、ネットによって出資者と事業者がつながるようになった。これが、インターネットで資金を調達するクラウドファンディングである。 クラウドファンディングは、群衆(crowd)と資金調達(funding)を合わせた言葉で、不特定多数の個人に募って事業資金を集めることである。少額から出資することが可能で、3,000円や5,000円から出資できるケースもある。 通常、クラウドファンディングは運営会社の専用サイトを通じて行われる。サイトでは事業の趣旨・内容・必要な金額等の説明が掲載され、出資者はそれを見て出資する事業と金額を決める。 ネットを使うと、世界中の人々とつながることができる。1人の出資額は少なくても、多くの人から集まると、大きな資金になる。銀行のような審査も、株式増資のような手続きも必要ない。 さらに、不特定多数の人々にアピールするため、反応の調査や、ファンの掘り起こしにもつながる。出資者は、少額なので気軽に出資できる。 クラウドファンディングは、出資者に対するリターンの有無により、大きく分けて、投資型、貸付型、購入型、寄付型の4つのタイプがある。投資型クラウドファンディング 出資者に対する金銭的リターンがあるが、さらに株式投資型とファンド型に分かれる。・株式投資(エクイティ)型 出資に対するリターンとして企業の株式が発行される。非上場企業でも株式をもとに資金調達ができる。出資者保護のため金融商品取引法により、資金調達は出資者一人当たり50万円以下、発行総額1億円未満に制限されている。・ファンド型 出資者は応援したい事業者に対して匿名組合を通じて投資をする。リターンとして、出資者は契約期間中の売上の一部を分配金として受け取る。<事例> 兵庫県姫路市の喫茶店は名物の手作りアーモンドバターをネットで全国販売することを考え、2015年12月からファンド型を使って資金を募っている。2016年1月下旬で、既に180名を超える参加応募が集まり、募集総額の524万円を越えそうである。貸付型クラウドファンディング 運営会社が出資者から集めた資金で企業に対して融資する。小口の資金を集めて大口化することで、不動産投資や海外投資なども可能になる。リターンとして、返済金利の一部が出資者に分配される。 再生可能エネルギービジネスへの投資によく利用されている。購入型クラウドファンディング 購入型は報酬型とも呼ばれ、支援者(出資者)には出資に対する金銭以外のリターンがある。例えば、支援金額に応じた商品の購入ができ、先行販売や事前購入に近いと言える。<事例> 東京の左官屋の3代目H氏とベテラン職人N氏は、左官職人が減少している今、多くの人々に左官の仕事を身近に感じてもらい、その技術の素晴らしさを伝え、後継者を育てるための製品を開発した。それは「卓上用かまど」。サイズは1合炊きから3合炊きまでの3種類。釜を乗せて下に火をくべる部分が、左官の熟練の技でつくられている。火力を逃さず、固形燃料だけで、電気釜とは比べものにならないほどの美味しいご飯が炊ける。 支援金の目標金額は、卓上用かまどの製作費、商品発送代、左官のPRと左官職人の育成など、合計で80万円に設定。出資者へのリターンは、1万5,000円の支援で1合炊きかまど1台、3万円で2合炊き1台などとした。 その結果、目標金額の155%に当たる、124万円を集めることができた。大別して4つのタイプ少額の出資を広く集める事業資金の新しい調達方法ネットを使ったビジネスの本質を探るネット活用の真髄

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