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6Idea4U vol.182014 NOVEMBER ビッグデータやICTなどの利用で、マーケティングは進化を続けている。その進化に対応するためには、具体的な手法をチェックするより先に、データベースマーケティングの基本を押さえておく必要がある。そのためには、「個客識別マーケティング」の知識が欠かせない。前回、その意義について述べたが、今回は実践するにあたっての原則を説明する。 顧客は、一人ひとり異なる商品を購入する。使う金額も様々だ。頻繁に来店する人もいれば、たまにしか来ない人もいるし、1回きりという場合もある。広告の特売日に魅かれて来店する人もいれば、たまたま近くを通りかかっただけの人もいる。顧客の状況はさまざまで、一人ひとりが異なる利益を店に与える。 ところが、小売店はすべての顧客に同じ商品、同じ価格で同じ扱いをしてきた。なぜならば、一人ひとりの顧客に対して個別に、コスト効率の高いシステムがなかったからである。 しかし、その状況は今や一変した。情報テクノロジーが、私たちに新しいツールを与えたのだ。小売業のツールが変化したからには、ルールも変わらざるを得ない。「すべての顧客は平等である」というマスマーケティングは、「すべての顧客は平等ではない」と置き換えられるべきである。 すでに、顧客を平等に扱わない「差別化マーケティング」は行われている。 アメリカ・オーククリークのスーパーでは、カード・メンバーが来店するとまず店内のキオスク端末に行き、自分のカードを読み込ませる。すると、一人ひとりの顧客に24品目が割引になるクーポンが印刷されて出てくる。買った物に割引対象品目があれば、レジでその客に対してだけ自動的に割引される。 どの顧客にどの品目のクーポンを発行するかは、店側で自由に設定できるようになっていて、顧客ごとのさまざまな商品の購買サイクルに基づいた特別な割引を企画している。 日本の大手スーパーでは、顧客の購入履歴からレジで次回の買い物で使えるクーポン券を発行するサービスを行っている。 このような差別化について、顧客自身も理にかなったやり方だと認めている。 アメリカの大手食品小売業の会社が行った顧客意識調査の結果、顧客の意見は以下の2つに集約されている。「たくさん買う人に、たくさんサービスするべきです」「私はこの店で年に3000ドル以上も使っているのだから、その分、優遇してもらうのは当然!」 このように顧客の多くは、すべての顧客が平等ではなく、顧客ごとに値段が異なるという考え方に賛成しているのだ。 あるスーパーのマーケティング担当役員は語る。「お客様は、一個人として扱われることが好きなのです。お客様一人ひとり、隣に住んでいる人とでも違う値段で買うことに対してまったく不満を感じていないという事実は、私たちにとってうれしい発見でした。お客様は、自分自身の購入額に応じて値段が決まるという仕組みを受け入れてくれました」 すべての顧客は平等ではない。店は顧客の多様性を認め、最大の利益をあげるために顧客を識別し、それぞれに応じた販売条件を適用することで、この事実を事業戦略に取り入れて行くべきである。顧客の差別化をためらってはいけない。すでに受け入れられ、歓迎されてもいるのだから。 利益を上げるために顧客を識別し、それぞれに異なる販売条件を適用するには、個客識別マーケティングが必要になる。その導入後に求められるのは、実際の差別化である。差別化の意味するところは、すべての人にすべてのものを与えるのではなく、ある人たちだけにある特定の物を与えるということだ。 すべての顧客が平等ではない以上、一人ひとりの顧客に異なる対応をするのは、まったく理にかなっている。 顧客差別化の第一段階は、会員カードを持っている顧客全員に対し、買物の際に割引やその他の特典を与えることである。これにより、実質的に価格条件がカードを持つ顧客と持たない顧客の二階層に分かれることになる。 しかし、購買件数全体の55~60%がカードを提示して行われるようになり、売り上げ全体の8割を占めるようになったとすれば、これはもう残りの2割の売上をもたらす顧客には別の条件があるデータベースマーケティングの基本すべての顧客は平等ではない顧客差別化の第一段階真のメリット個客識別マーケティングの重要ポイント【第2回】実践のための原則ー顧客の差別化歓迎される顧客の差別化

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