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5Idea4U vol.182014 NOVEMBER既存メディアの活用法 そこで、実際に番組制作の際によく使われる手法は、まず、視聴者が興味をもつであろう「純粋な情報」を取りあげて、視聴率を上昇させたところで「お客様」の情報を流すというものである。この前者の部分を、放送局は常に求めている。 つまり、集客をめざす自分の会社、お店、そしてイベントが、いかに「視聴者が興味をもつ」かを放送局にアピールできれば、費用をかけずに放送への露出が可能になるのである。 実際に取り上げられた事例として、ある街の宝飾店のケースを紹介する。 個人経営の小さなお店であり、商圏から考えても、テレビCMや新聞広告への出稿は現実的ではなかった。そんな中、店主が業界資格である「ジュエリーコーディネーター1級」の資格を取得。 この資格が難関であることは業界内では有名だが、一般的には知られていない。そこで、「この資格取得がいかに顧客にとってメリットがあるか」「資格がどれだけ難関であるか」「資格を得たことで地域にどんな貢献できるか」「県内で初めての資格取得者である」ことをプレスリリースとして、地元の新聞社・放送局に送付した。すると、地元紙に記事として相次いで取り上げられ、その後しばらくたって、地元の公共放送の夕方のニュースで特集されたのである。 民放の番組と違い、公共放送の場合は、お金をいくら出しても取り上げてもらうことは不可能である。このニュースでの特集は、お店の広告効果どころではなく、信頼度をも一段とあげる結果となった。 放送で取り上げられた大きな要因として、先に新聞で取り上げられたことが影響していると思われる。新聞に記事として掲載されることは、もちろんそれ自体にも価値があるが、放送への露出に繋がるという効果もあるのだ。新聞には、支局が記事を作成する地域面があり、この面は掲載のハードルが比較的低い。その掲載実績をもって、放送局にアピールすることはとても効果的である。 また、名古屋で今年開催された「世界手羽先サミット」というイベントも、B級グルメ人気投票の手羽先に特化したものであったのだが、それを「世界初!」と銘打ち、地元色を全面に出し、プレスリリースを早い時期に各所に送付したことで、地元メディアの注目を集めることに成功した。地元のテレビでは複数のニュース、情報番組で取り上げられ、当日には生中継も入り、さらには全国ネットのワイドショーで大きく取り上げられるという結果を出している。  放送や新聞で取り上げられるには、当然のことながら、自ら声を上げなくてはならない。放送局や新聞社に電話をして、主旨を説明し「プレスリリースをFAXで送りたいのですが」と伝えれば、大抵は受け入れてもらえる。ホームページに、窓口が記載されているところも多 い。放送局や新聞社側も、常にネタを求め ているのである。ただ、不躾にメールを送ると迷惑メールとして処理されることも多く、形に残るFAXの方が手にとってもらえる確率は格段と上がる。 ただし、当然のことであるが、放送であれば「視聴率がとれる見込みのある内容であること」「面白いこと」「話題性のあること」と、もうひとつ「今、取り上げる意味のあること」が必要であり、特に、県内初などの「初物」は取り上げられる可能性が高いと言われている。 いかに自分の会社、お店、イベントにその要素があるかをプレスリリースで表現することができるか。放送や新聞で取り上げられる鍵はそこにある。川合登志和(地域情報サイト・トッピーネット代表)まとめ■放送・新聞メディアの媒体価値は、まだまだネットと比べて大きい。■広告としてではなく、「純粋な情報」として取り上げられることにメリットがある。■自社や自分のお店、イベントをメディアが求めている形に見せることが必要。世界手羽先サミット2014複数のメディアで事前に取り上げられ多くの人で賑わった1日あたりのテレビ視聴時間の推移(「総務省 情報通信白書」NHK放送文化研究所調査より)近年横ばいが続いているが、若干増加に転じている新聞・テレビで取り上げられた実例メディアは常に情報を求めている

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