6Idea4U vol.172014 SEPTEMBER 顧客を抱える業界では、永遠の課題である顧客との関係維持。そのため、企業にとって顧客データの収集・活用によるマーケティング活動は欠かせない。 マーケティング手法は現在、ビックデータやICTなどと進化している。これに対応するためには、新しい手法を後追いするのではなく、何よりも基本を理解することが必要である。 そこで、データベースマーケティングの基本的な考え方である「個客識別マーケティング」を理解することが重要となってくる。 一口に顧客と言っても、よく来店する人もいれば、あまり来店しない人もいる。個客識別マーケティングは、フリークエント・ショッパー(来店頻度の高い顧客)を識別し、割引等の優先的なサービスを展開することで彼らを固定客化すると同時に、その割合をできるかぎり高めることを目的にしている。そのために顧客の購買行動の動向をデータベース化し、それに基づいて各店舗の品揃え、サービスなどの戦略を探ることが必要になる。 フリークエント・ショッパーを的確に識別するためには、どの顧客がどの店舗に、どれくらいの頻度で来て、何を買ったか、という顧客プロフィールがデータベース化される仕組みが必要である。そのために、よく用いられるのがポイントカードである。 たとえば、カリフォルニア州ロンポックにあるピザとパスタの店では「スーパー・クラブ」と名づけたカードを通じて顧客情報を収集し、3年間で売上げを3倍に伸ばすと同時に、広告費の対売上比率を75%もカットすることに成功した。 そもそも、なぜ個客識別マーケティングが要請されるようになったのか。 それは、社会や市場の変化に大きな影響を受けていると言える。 成熟期を迎えた先進国では、人口増加傾向に鈍りが生じ、金額ベースでのマーケットの拡大もそれほど見込めないため、企業はできるかぎり効率的な戦略を展開せざるを得なくなってきている。このような効率的な戦略展開の一つの方法として、今まで築いてきた累積経験量を徹底的に活かす方向が考えられる。 フリークエント・ショッパーは、市場における累積経験量そのものとして位置づけることができる。逆に言うと、流通業者が累積経験量を高めるためには、高頻度来店客をできるかぎり増やしていくことが重要である。個客識別マーケティングのプロモーション効果は、まさに、こうしたことを期待している。 次に、流通業者においてもグローバルなレベルで競争が激化しつつある。こうした状況では、流通業者の顧客獲得のための競争戦略として、顧客数そのものを拡大するのではなく、むしろ、比較的少数の顧客と長期的なリレーションシップを築き、その中から自社の競争優位性を導くという方法が採用されるようになってくる。つまり、顧客の空間的な拡大よりも、その時間的拡大が重要視されるようになっている。個客識別マーケティングは、こうした戦略展開の重要な武器となっていくであろう。 個客管理マーケティングのために、どのような情報システムを採用すべきかという観点から見ると、商品管理型と顧客管理型の2つに類型化される. 商品管理型は、取扱商品の動きに関する情報に基づいて流通業者が品揃え、ロジスティクス等に関する戦略を決めていくことを指す。たとえば、どの商品がいつどの程度売れるかということから、顧客の購買行動を推定し、品揃えデータベースマーケティングの基本個客識別マーケティングとは何か個客識別マーケティングが要請される背景商品管理型と顧客管理型2つの類型がある個客識別マーケティングの重要ポイント普遍的なその意義と必要性24IdeaMart
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