5Idea4U vol.172014 SEPTEMBERビジネス成功の新しいカギ方がまるで違います。 資金もない、マンパワーも弱い会社は、競争に勝つことは出来ません。また、サービス業には、大きく分けて2つのタイプのビジネスモデルがあります。1つは、外食に象徴されるような店舗を持つタイプの事業、そしてもう一つは、結婚相談所のような店舗を必要としない事業です。これらの事業には、それぞれメリットとデメリットがあります。店舗にとって立地は成功要因のひとつ 店舗を持つタイプの事業に関して、まずいえることは、最初に店舗への投資が必要になるということです。 外食であれば、上手く初期投資を抑えても数百万円。普通に出店すれば、1000万円以上の投資が必要になります。初期投資の額が大きいこと自体が、すでに事業のリスクになるわけですが、店舗を作るメリットは、リスクに見合うだけ得られます。それは、集客が容易であるということです。店前通行客が勝手に見込み客となり、いずれ新規顧客になっていきます。これは、店舗があって初めて実現する集客プロセスです。 このことは、逆に言うと、容易に集客可能な立地に店舗を作らないと、店舗を持つメリットがほとんどなくなるということです。低単価の飲食店などは、店前通行量と売上がある程度、比例してしまう部分があるので、店舗を作るのであれば、なるべく通行量の多い立地に出したほうが、断然有利に事業を展開することが出来ます。 いずれにしても、店前通行量の多い場所に店舗を出すことは、店舗ビジネスの成功要因のひとつであるといえます。店舗のないビジネスに必要な「投資」 一方、店舗を持たないビジネスモデルは、店舗を作るための初期投資は必要ありません。この時点で、事業に失敗するリスクは、かなり低くなるのですが、集客のための継続的な広告投資が必要となります。本質的に言えば、店舗を持たないビジネスは、顧客リストを作り上げるための広告投資が、店舗ビジネスでいう店舗投資に相当しているのです。店舗を持たないビジネスで、広告を行っていない=集客努力をしていないということは、店舗で言えば、シャッターが下りている状態に等しいです。 また、店舗を持たない通信販売のような事業には、店舗ビジネスにはない、かなり有利な点があります。それは、お客さんのデータベースが残るということです。例えば、私が運営している、飲食物の宅配サービスなどは、注文を受ける際に、電話番号と住所を聞き、それをデータベースに打ち込んでいくので、顧客の利用動態を数字でつかむことが出来ます。その有利な点は、売上が下がったときに要因を数字で特定することが出来るので、効率のよい対策を立案することが出来ることにあります。また、チラシの反応率や客単価、推移率、購買頻度、顧客の離脱率、平均在籍期間、顧客獲得コストなどから、売上・利益の予測が、過去のデータ(=根拠)を元に割り出すことも出来ます。 事業を成立させるだけの数字(=ビジネスモデル)が組みあがれば、多店舗展開は、店舗を持つビジネスモデルに比べるとローリスクになります。 このようにビジネスには、一長一短があるのですが、それぞれの事業の特性や成功要因、そして自社の資金力などを考慮して、自らの事業を選択していくとよいのではないかと思います。鬼頭 宏昌(㈱スモールビジネス紹介センター代表)著者が運営するとんかつの宅配サービスのチラシ。店舗のないビジネスにとって、広告は集客の要であり、広告を行わなければ、閉店しているに等しい。まとめ■新規事業を始めるにあたって、人材募集や店づくりに資金が必要になる。■資金力がない場合は、商品やサービスの開発をするマンパワーが必要である。■店舗のある店にとって立地は集客の上で重要な要素である。店舗のない店には広告や顧客データ管理が欠かせない。店舗の有無にかかわらず「投資」は必要
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