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5Idea4U vol.162014 JULYビジネス成功の新しいカギみが重要になります。自社が勝てる地域に出店を絞り、その中でのシェアを高めていくことで、水商売であるはずの飲食業の業績安定を実現できます。私の知人にも、市場の小さい地方都市の駅前に集中出店し、そのエリアを寡占して成功している経営者さんがいます。 このように、まずはナンバーワンになれる市場に、経営資源を集中することが重要です。 私自身も、この3年間は宅配とんかつ事業に一点集中をしていき、この分野では日本一の店舗数を展開するに至りました。とんかつの宅配は、そのサービスを知る人の方が少ないほどニッチな業態で、宅配ピザ・宅配寿司のように大きな市場ではないですが、小さいながらも安定した需要がある市場です。また、市場の小ささゆえ、競争相手が弱い会社ばかりでしたので、その事業に集中することにしたのです。 1つの事業に集中することは、同時に、 それ以外の事業に経営資源を投入しない、ということでもあります。ですから、勝てる市場・ナンバーワンになれる市場を見つけたら、そこに集中をして、それ以外の事業には、経営資源をなるべく割かないようにする必要があります。 このように経営資源の乏しい中小企業は、経営資源の集中により、特定の市場(商品・サービス・地域)で圧倒的に強くなり、業績を安定させていくことが重要です。 そして、そのような状況を作り出すことに成功したら、その市場よりもう少し大きくて収益力の高い市場で、新規事業を起こしましょう。この繰り返しで、中小企業は大きく成長していくのです。 中小企業の経営を強くするには、このように集中することが大切なのですが、他社との差別化とて集中する姿勢から生まれます。差別化というのは、他社との魅力的な違い(顧客にとって)のことを言います。 もちろん差別化は、顧客目線で、魅力ある点での「違い」でなければ意味がありません。 たとえば、ラーメンビジネスにおいて、接客で差別化しても意味がありません。 顧客はラーメン屋に気持ちのいい接客を、それほど求めてはいないからです。 他社との違いが生み出されるのは、一点に集中することによって生まれる会社の強みだからです。接客による差別化を実現したいのであれば、人材の教育を徹底的に行うことで、他者を圧倒するほどの接客サービス力を持つことが出来ます。また、なんらかの技術力で差別化をしたければ、その技術に対する探究心によって、他社を圧倒するほどの技術は生まれてきます。差別化戦略をとるにしても、何かに集中する姿勢によって、それは実現に向かうのです。 とにかく、No.1になれる領域まで市場(ターゲット)を絞り込み、それを突き詰めていくことで、他社との差別化も生まれ、中小企業の経営は大きく成長していきます。鬼頭 宏昌(㈱スモールビジネス紹介センター代表)経営資源力、つまり資金が乏しい中小企業が生き残るためには、ニッチ市場でリーダーとなる必要がある。そのためには、他との差別化と集中化戦略が欠かせない。まとめ■中小企業が経営を安定化させるためには、小さな市場でもいいので、ナンバーワンとなることが必要である。■ナンバーワンになるためには、ニッチな市場を選ぶべき。■いま事業展開をしている市場がニッチでない場合、市場を細分化して、勝てるセグメントを見つける必要がある。■ナンバーワンになるためには、接客サービス力や技術力をつけて他社との差別化を図ることも重要である。【写真】地方の駅前の飲食店都市部と比べて、地方の駅前は人通りが少なく、店の立地条件としては悪いようにも思えるが、競合店が少ないため、エリア内シェアの寡占に成功する可能性が高い。ナンバーワンのためには資本の集中が必要

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