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2Idea4U vol.162014 JULY ネットショップでは、商品を購入してくれた顧客に、その後はeメールで接触し再購入を促す方法が主流であるが、ある場面では紙DMが力を発揮するケースがある。実際、数多くのネット通販企業が紙DMを活用するケースが増えている。 今回は、生活雑貨をネット販売する企業が既存顧客を活性化するために行った紙DM戦略を紹介する。   S社は、自社サイトと楽天市場等(以下、モールと呼ぶ)で生活雑貨を販売しているネット販売専業の中小企業である。売上に関しては、モールでの販売が最近堅調で右肩上がりである。だが、S社の役員は渋い顔をしている。役員「モールでの販売堅調はありがたい。しかし、弊社の商品は粗利益率がそれほど高くないため、モールへ支払う手数料後の粗利益額が思ったように確保できない。それを考えると、今後は集客力はモールに劣るが利益率が確保できる自社サイトでの販売も強化していきたい」 しかし現状は、モールでの販売に力を入れてきたため自社サイトの既存顧客に対して何も接触をしてこなかった。そこで、役員の話を聞いたコンサルタントのK氏は段階を踏んだ販促を提案した。K氏「まずは既存顧客のリピート率を上げることから始めましょう。  リピート率が上がり、自社サイトでの売上が伸びてから、その資金を活用して比較的大きなコストがかかる新規顧客獲得販促を行いましょう。」  K氏は自社サイトの現状を知るため、既存顧客データを預かり分析をした。K氏「残念ながら、自社サイトの顧客への接触を放置したため、非常に問題があります。」 分析結果のサマリーは、以下のとおりである。①モールの顧客数と比較すると、自社サイトの顧客数はおよそ15分の1と少ない。②購入回数が1回のみの顧客比率が70%以上③平均購入単価は3,200円。(ちなみにモールは4,100円)④上位顧客比率は約5%。上位顧客の定義は「年間3万円以上購入」である。 K氏が問題視したのは「②購入回数が1回のみの顧客比率が70%以上」と割合が高すぎるところである。明らかに、こちらからの接触を怠った結果である。そして、「④上位顧客比率は約5%」に関しても対策が必要であり、まずこの5%をいかに囲い込むかが重要であるという。 この問題②と④の対策を練ることとした。【問題②の対策】 今まで顧客への接触を何もしていなかったS社にとっては、1回のみ顧客だけを対策するのではなく「まずは全員に接触をすること」が重要である。K氏によると、ある程度までは接触回数増=購入回数増であるため、S社はまずは全員に接触することが必要であるという。 そして、もう1つ大事なことは、紙DMを上手く使うことである。eメールはコストが低いが、反応がない顧客には目先を変え、多少販促コストが増加しても伝える力が高い紙DMを送付すると有効なケースが多い。S社のように、とにかく全員に接触し、何かしらアクションを起こしてくれる顧客数を増やしたい場合は特に有効である。販売促進最前線図1 1回目のeメール自社サイト運営に課題を持つネット通販S社既存顧客の状態から対策を練るネットショップの顧客活性化に有効な紙DM戦略ハガキ1枚がeメールと違う効果を生む

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