idea4U_vol73
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絶対的ファンの力で拡大するコミュニティマーケティング個に注目するN1マーケティングの可能性ステップ1ステップ共通課題2025 Springステップ2ステップ3小島英揮著「コミュニティマーケティング」日本実業出版社より引用、筆者にて修正コミュニティマーケティング展開方法Idea4U vol.737はあくまでメンバーで、企業はサポート役に徹します。企業との関係強化に主眼を置く「ユーザー会」や報酬を受けてブランドを広める「アンバサダー」とは異なり、ファン同士が自発的に情報を交換します。この会話を深く観察することがコミュニティマーケティングの要です。 コミュニティの形成と育成には、3つのステップがあります。第1段階は「着火」、つまりコミュニティの立ち上げです。熱心なファンの中からリーダーや初期メンバーを見つけ、彼らを中心に活動を開始します。効果を図る指標は「リーダーとコミュニティメンバーの数の拡大」です。第2段階は「増幅」、コミュニティの活性化です。メンバーがSNSで知識や経験を積極的に発信することで、多くの人が参加しやすくなります。ここでは「リーダーとメンバーのソーシャル発信数の拡大」を効果指標とし、交流の活性化を図ります。第3段階の「拡大」では、コミュニティの規模を広げ、特定のテーマや地域ごとにサブグループを形成することで、各々が独自の価値を生み出し、より多様なつながりを構築します。 コミュニティの成長には、コミュニティリーダーとなり、ブランドの価値や熱量を発信してくれる「絶対的ファン」が不可欠です。彼らはコミュニティに影響を与え、活性化の原動力となるため、SNSの発信力やリテラシーを見ず全世代に広がっています。推し活は単なる娯楽ではなく、自分の感性や個性を表現する手段。人物や作品を応援することで「自己実現欲求」を満たし、コミュニティを通じて一体感を持ち、「所属欲求」が満たされます。さらに、推しに関する知識を共有し、共感を得ることで「承認欲求」が満たされます。これは、世代を超えた共通の心理メカニズムと深く結びついているのです。 多様性が重視される現代、人々は他者との違いを肯定し、自分自身を大切にするようになりました。近年、「自分らしさを大切にしたい」、「周りの人と同じである必要はない」と考える人がどの世代においても増加し、同じ年齢層や収入層での価値観や消費行動の多様化が進んでいます。その結果、一律のアプローチでは効果的なマーケティングが難しくなっているのです。 そこで注目すべきは、市場の最小単位である個人(N=1)です。実在する個人を起点に、背景や言動を徹底的に理解し、潜在的な欲求やインサイトを導き出すのが「N-1マーケティング」です。架空のペルソナではなく、実在の人物を深く分析することで、より具体的な課題や行動パターンが見えてきます。そして、N-1から得られる深い洞察は、実は多くの人に共通する本質的なニーズを探る手掛かりにもなるのです。 例えば、缶ビールの蓋が全開し、ジョッキのように泡が立つ「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」。その成功を支えたのが「これ、生じゃん!」というキャンペーンです。このフレーズは、あるYouTuberが動画内で思わず発した言葉を引用したもの。リアルな反応が視聴者の共感を呼び、キャンペーンの核となりました。アサヒビールは、実在する人物の言動を観察し、「働いた後自宅でリラックスしたい」「ちょっとした贅資料沢を楽しみたい」という心理に着目。「居酒屋の生ビールのような体験を自宅で楽しめる」というコンセプトをリアルな言葉を使いながら潜在欲求を刺激したのです。1人の実体験を深掘りし、多くの人に共通するニーズへと昇華させたこの取り組みは、まさにN-1マーケティングの成功例と言えます。 N-1マーケティングを実施する際には、いくつかの注意点もあります。1人の深層心理に深く入り込むという作業において、データ収集には倫理的な配慮を忘れず、個人情報の管理やプライバシーの保護、透明性の確保が不可欠です。また、発見したインサイトがどれくらい広がるかは予測が難しいため、ターゲット市場全体に適用できるかは慎重に分析し判断しなければなりません。さらに、社内の合意形成も課題の1つです。従来の大規模調査に慣れた企業では、N-1アプローチに懐疑的な声もあるため、実際には、N-1から得た情報と、定量調査から得られるメタ情報を組みあわせて組織全体で共有し、理解を得ることが必要です。 一方、「コミュニティマーケティング」は、製品やサービスに魅了されたファンが交流する場を形成し、そこから得られた洞察を施策につなげます。主役Ignite着 火Amplify増 幅BusinessContributionビジネス貢献とROIExpand拡 大

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