企業の成長に必要な3つの分野リベラルアーツが育むイノベーションの力速く!大胆に!失敗を恐れず、まずは一歩踏み出してみよう Idea4U vol.732025 Spring5写真提供:QUINTBRIDGE(アイデアウイルス編集部)も、経営思想にしても、根底にリベラルアーツがないとダメだとようやく気づいたのです」と川向氏は語った。イノベーションは、往々にして異なる分野の知識を統合することで生まれる。リベラルアーツの分野横断的な視点はその土台となるのだ。日本の教育、そして企業活動においても、分野横断的な教養を磨き続けることに注力し続ける必要があることがわかる。かのSteve Jobsも「Appleはテクノロジーとリベラルアーツの交差点に立つ」と表現した。テクノロジーだけでは足りない。心に響くデザインや体験は、リベラルアーツと融合させることによって初めて生まれるのだと。 ラピットプロトタイピングは超高速意思決定の力を養い、リベラルアーツはイノベーションを生み出す素養となるだろう。では、じっくりと完璧を目指すことに慣れている日本の組織がすぐにでも取り掛かれることは何だろう?川向氏はその問いに力強く答えた。「まずは何でもやってみることです。利益は出るのか、新規性はあるのかとアイデアを却下するばかりではなく、若者のチャレンジを積極的に後押しすること。経営者は腹を決め、リスクを取ってトップダウンでやってみることです。3年かけて1億円を使うより、100万円で100回試す方が、短期間で良い結果を導き出せる。何度失敗したって構いません。不確実性の高い今の時代に完璧な答えを求めるのではなく、小さく素早く試して修正を繰り返す。挑戦と試行錯誤を超高速で積み重ねた先にこそ、成功があるのです」の学びがありますが、例えば子どもや学生が自由に考えたアイデアを大人がガチの技術力で実現させるというのもよいですね。子どもが想像できることは、いずれ必ず実現できるコトやモノ。そこに技術をもった大人がどれだけ真剣にチャレンジできるかです」 企業の継続的成長には、確固たる戦略、ブランド育成、そして人材の配置と育成が不可欠だ。それぞれが相互に連携し、有機的にビジネスに作用することで最大の成果が得られる。戦略が的確であれば、ブランドの方向性が明確になり、市場での競争力が強化される。同時に、優れた戦略やブランドが従業員のモチベーションを高め、組織全体の力を引き出す。人材の力は新たな価値を生む原動力となり、ブランド価値の向上や戦略の実現をさらに加速する。このように、3つの要素が連鎖することで、企業全体の成長力が飛躍的に高まるのだ。 川向氏は「日本の大企業は、優れたアイデアや高度な技術力があるにも関わらず、それらを効果的にビジネスに結びつけられていないと感じます。個々の従業員の能力は高いのに、組織構造やマネジメントのあり方が、その力を最大限に引き出せていないのではないでしょうか」と問う。どれだけ優れた戦略やブランドがあっても、それを実行し、具現化するのは「人」だ。学び続け、変化に適応できる優れた人材は企業の成長の鍵となる。それだけに、従業員が最大限の力を発揮できる環境を整え、人材を効果的に配置することだ。 川向氏は20代にアメリカでリベラルアーツを学んでいる。リベラルアーツとは、多岐にわたる教養分野を網羅する学問を指し、その目的は、特定の専門学科や職業スキルの習得ではなく、幅広い知的基盤を築き、ビジネスの現場で必要な創造力、柔軟性、倫理観、コミュニケーション能力を育むこと。文法・修辞学・論理学という言語に関する3科と、幾何学・天文学・音楽・算術の4科による合計「自由7科」から成る。 「リベラルアーツは、古代ギリシャ時代に『奴隷から自由になるための学問』と言われ、日本では明治時代に宗教家の西周が『藝術』という言葉をあてました。日本の大学教育は専門性を重視する傾向があり、リベラルアーツの認識はまだまだ低いのが現状です。リベラルアーツ=一般教養のように誤解され、実用的な価値が過小評価されていますが、リベラルアーツの教育が欠落すると、多角的な視点や複雑な課題を解決する能力が失われる恐れがあります。私も大学時代にはその価値がわかりませんでしたが、モノづくりにして
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