Idea4U vol.722025 Winter3写真左から gf.K株式会社ロジスティクス第1事業部物流業務課長 藤木悠平氏株式会社協同クリエーション部長 清宮功一氏株式会社協同制作D-Smart担当部長 石橋競氏株式会社小松総合印刷営業部部長塩原実氏株式会社ロッテマーケティング本部EC戦略部EC企画課課長 鬼頭真氏株式会社ロッテマーケティング本部EC戦略部EC企画課 立花至氏 Web上でオリジナルパッケージをデザインするツールは、株式会社協同制作のD-smart事業部にて開発、パッケージの生産は、B2サイズでパーソナライズが可能なHP Indigo 10000デジタル印刷機を保有し、印刷から抜き加工までを一気通貫してできる株式会社小松総合印刷に決定。清宮氏は「特に苦労したのは物流倉庫です。Pマークを持ち、セキュリティがしっかりしていて、個人情報の取り扱いに長けている会社はなかなかありません。商品がチョコレートなので温度管理や清潔であることも必須条件でした」と語る。何社も足を運び、ようやく千葉に物流センターを持つgf.K株式会社が見つかった。理想的なチームが出来上がった瞬間だった。 オリジナルパッケージを作成する上で重要なのがオンラインデザインツールだ。使いにくいものになればマイナス効果にもなりかねない。開発を担当する協同制作の石橋氏は「商品の購入だけではなく、写真や名前、メッセージを入れる工程があるので、操作性を大切にしました。また、印刷を行うため、通常Webでは扱わない大きなデータの対応にも苦労しましたが、この分野は同社が国内でいち早く取り組んでいたのでノウハウを発揮できました」と語る。ユーザーは楽しみながらパッケージを作るので、一般的なサイトよりも滞在時間が長い。この体験を楽しんでもらうことで、商品の愛着が深まり、ロッテにとってはエンゲージメントを高める絶好の機会にもなる。 印刷・加工面では、デジタル印刷機で1人1人に異なるパッケージを印刷する。小松総合印刷の塩原氏は、発注を受けて完成品を倉庫に届けるまでの流れを可能な限り自動化したという。「発注データはプログラムに投げると印刷用のPDFが自動生成されるなど、できるだけ人を介在させない仕組みを構築しました。手作業は遅延や人為的ミスなどのリスクを伴うので、受信したデータを自動処理し、いかに生産まで円滑に回すかというフロント側の仕組みが重要です」と自社の強みを語る。 最終工程となるのがアセンブリーだ。gf.Kの藤木氏は「商品が正しく届くことは当然であり、大前提です。前工程で積み上げてきたものをここで壊すわけにはいきません。六角柱のパッケージの組み立てには相応のスキルが必要なので、責任を持って専属チームを組み、お客様をがっかりさせないようにとにかく美しく仕上げることにこだわっています」と語った。裏面には1つ1つ異なるQRコードが印刷されており、システム上で伝票番号とQRコードを紐づけて厳密に配送管理している。 このように、各社が専門分野で存分にプロとしての力を発揮・連携し、価値の連鎖によって特別なパッケージが生まれているのだ。 現在は個人向けがメインだが、サービスを続けていく中で新しい可能性が見えてきた。それが法人需要だ。ロッテの立花氏は「建設、IT、保険、塾などの業界で採用され始めました。企業のロゴを入れたオリジナルパッケージは、イベントやノベルティ、取引先への挨拶で活用され、会話のきっかけや話題作りに貢献します。建設業界であれば、コアラのイラストにヘルメットをかぶせる、背景を建設現場にするなどのフルオーダーも可能です(※セミオーダー(400個~):60種類のデザインから選択。フルオーダー(1万個~)デザインから完全なオリジナル)」と説明する。 六角柱のフォルムは他のお菓子にはなく、オリジナル性が高いのもポイントだと鬼頭氏はいう。「現在オリジナルパッケージ活用による商談率のデータを基に、説得材料となる商談資料を作成したり、組み立て前の展開図のパッケージをDMで送るといった施策を進めています」と次なる挑戦に積極的だ。 発注量が多くリピート率の高い法人市場は、ビジネスをスケールさせる 絶好の機会だ。誰もが知るお菓子だからこそ、SNSなどを通じて話題が広がり、宣伝効果も生まれやすい。あらゆるシーンで人々に寄り添ってきた『オリジナルコアラのマーチ』は、企業内や企業と顧客をつなぐ新たなコミュニケーションツールとして新しい風を吹き込むだろう。(アイデアウイルス編集部)システム、印刷、アセンブリーの連携B2Bという新しい市場の開拓へ
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