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5 ■UXを構成する要素例と 前段のUIが「使いやすさ」なら、ここから深掘りするUXは記憶に残るような素晴らしい「体験」についてです。UIがモノなら、UXはコトになります。 そのUXの要素については、次のようなものがあります。① 視覚的な魅力 デザインやカラー構成など、多くの人が見て「素敵」と思えるようなもの。② スピード 出来る限りの迅速な「レスポンス」に期待されるもの。③ ステップ 何かを達成するまでのタスクが明確で、その「現在地」が分かるもの。④ オプション 一般的な選択肢だけでなく、その人に合わせた「フレキシブル」な変更が可能なもの。⑤ パーソナライズ 受け取る側の好みやニーズに合わせた、「カスタマイズ」された体験を提供するもの。⑥ 感情的な結びつき 製品やサービスにおいて、「好き」と思える体験が継続的なもの。⑦ 一貫性 同じ品質の製品やサービスが、「変わらず」提供されるもの。⑧ 安全性 利用者を守るため、プライバシーなどの「セキュリティ」が配慮されたもの。 これらの①~⑧は、常に利用者との関係性とその満足度によって決まるものばかりです。全てを満たす必要はありませんが、UXは利用者から何を期待されているかによって設計されます。 では実際に、UXに求められるものとはどういった内容なのでしょうか?例えばカフェにおいては単に「コーヒー」という商品だけでなく「くつろぎ」の時間や空間を提供すること。アパレルショップにおいては、既製品の「服」の販売だけではなく「似合うデザイン」で「合うサイズ」の服を提供すること、■ UIは利用者の操作性と理解のしやすさが大事で、利用者の目的や行動が想起できているかがカギとなる。■ UIがモノならUXはコトであり、利用者の目的・行動から得られる期待を「体験」としてどこまで設計できるかが求められている。Idea4U vol.712024 Autumn これらの①~⑧は、利用者が情報を理解し操作をしやすくするための要素としては非常に重要です。これらの要素が適切に組み合わさることで、利用者が簡単に目的を達成できるUIが求められます。 UIの改善において見直すべきポイントの一例は、運用しているWebサイトに「どんな目的」で訪問してもらい、「どういう行動」をしてほしいかが明確になっているかどうかです。具体的には検索性なのか、最新情報に焦点を当てるのか、1つのメインの情報に特化させるのか、この「目的」次第でWebサイトの見せ方は大きく変わってきます。検索性であれば、Google検索のTOPのように、検索窓と検索ボタンだけというシンプルな見せ方もありますし、最新情報に焦点を当てるのであれば画面を左右に分けて、そのどちらかのファーストビュー内で、新しい情報順に項目を表示したほうがいい場合もあります。また、1つのメインの情報に特化するのであれば、ファーストビューで大きなイメージ(動画とか画像とか)を表示して、見てほしいページに誘導するなどの方法があります。 UIを考えるうえで、目的無く"全方位"に対応させようとするほど、意外と「使いにくいUI」になりやすいです。そういう意味では要素の「足し算」よりは「引き算」のほうが大事なのかもしれません。⑥ インタラクション 操作のためのボタン、リンク、入力フィールドなどであり、情報と対話するための仕組み⑦ アニメーション 利用者の反応を良くしたり、状況を理解しやすくしたりする⑧ バリデーション(フィードバック) 利用者が検証・確認するための情報を提供するなどが挙げられます。また「買う」という選択肢以外に、「借りる」とか「シェアする」とかの選択肢が提供されると新しい体験になることもあります。あとITツールにおいては、例えば利便性を高めるため老若男女に対応させるなら、「手入力」ではなく「音声入力」といった手段の提供も有効ですし、デジタルによってこれまで数値等で可視化できなかったものが「可視化」されることも新しい体験でしょう。 既にお気づきかもしれませんが、UIとUXの関係性をみると、UIが満たされてこそ素晴らしいUXを提供できる側面があります。双方のバランスをとりながら、利用者の体験全体を通じて設計することが求められているのです。 商品・サービスを提供するとき、どうしても売り手側の目線を優先させがちかもしれません。ただ、このUI(モノ)とUX(コト)の考え方を理解することで、偏った視点を解消できるだけでなく、自社の事業におけるライフサイクルの "現在地"に気づくことができます。デジタル時代は変化のスピードが速いからこそ、常にこのUI/UX視点での継続的な改善や変化への意識が大切だということでしょう。(株式会社フジプラス)UIとの関係性まとめ■ UI/UXは、ITが進化するにつれて重要性 が増し、機能増加と利便性向上とのバランスが常に求められている。

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