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クライアントコスメアイテムを製造・販売するメーカー依頼内容/目的商品の売り上げ向上を目的としたフライヤーの制作ターゲット・20代後半〜30代前半・働く女性・自分に似合うメイクを慎重に選びたい女性価格帯5,000〜15,000円程度資料Beforeターゲット層に対して説得力のないデザイン・20代後半〜30代前半の女性にマッチしないPOPなビジュアル・実際に使用したイメージが想像できないAfterターゲット層に対して説得力のあるデザイン・20代後半〜30代前半の女性にマッチした落ち着いたビジュアル・イメージ写真によって想像が膨らむレイアウトゲットに的確に届けることが大切。■売れるための要素の一つとして、デザインによる説得力がある。■「説得力のあるデザイン」が人に納得や共感を与え、購買に繋がる。Idea4U vol.712024 Autumn11 説得力のあるデザインが実際にどう生まれるのか、どのような思考・対話を経てデザインを構築していくのか、架空のビジュアルを元に検証してみましょう。クライアントはコスメアイテムを製造・販売するメーカー。依頼内容は、商品の売り上げ向上のためのフライヤー制作であると仮定します。ターゲットは20代後半~30代前半の「自分に似合うメイクを慎重に選びたい」と感じている女性。価格帯は「5,000~15,000円」程度とします。 Beforeはターゲット層への理解が深まっていない状態のまま制作したもの。対してAfterはターゲット層のニーズを掘り下げ、説得力のあるアプローチを探った結果、仕上がったデザインです。 Beforeのデザインは、色味やあしらいもPOPで可愛らしい印象が強く、ターゲットである20代後半~30代前半の働く大人女性の目に留まるデザインであるとは言えません。また、コスメそのもののディテールは分かるものの、イメージ写真がないために発色や塗った時のイメージが湧かず、ターゲットの求める「自分に似合うかどうか」という判断もしづらいのではないかと考えられます。 対してAfterでは、「『このアイテムを使えばこういうメイクになる』といった分かりやすい情報が欲しい」というターゲットのニーズを意識して制作したデザインです。仕上がりが分かるイメージ写真と使用したアイテムでグルーピングして掲載し、全体の雰囲気も落ち着いた大人な印象にまとめ、ターゲット層の目に留まりやすいデザインに仕上げました。 商品を売りたい!という強い想いから、「商品画像をなるべく大きく入れて充実感を出したい」「コピーで特長を細かく伝えたい」と思うのも自然ですが、情報量が多いと強弱がつけにくくなり、むしろどれも目立たなくなってしまいます。そのため、膨大な情報の中から「今回のターゲットにとって最も伝えるべきことは何か」を考え、情報に優先順位をつけながら取捨選択をしていくことが重要です。 もし、手元にある情報だけで表現が難しい場合は、バイヤーの意見や口コミの情報などを、クライアントを介してデザイナーが引き出すことも必要となってきます。こうしたやりとりを重ねて「その商品ならではの見せ方」を提案することは、ターゲットに納得してもらうきっかけの一つになるでしょう。 「売れる」というゴールを常に意識しながら双方で対話を繰り返すことで、よりターゲットのことを意識した「説得力のあるデザイン」が生まれます。 「いいデザイン」のはじまりは、クライアントとデザイナーの良質な対話です。そこから一歩先に進んで「売れる」という目的を叶えるためには、「クライアントとデザイナーの対話の先にはターゲットがいる」という意識が大切です。ターゲットを意識し、小さな提案を対話で重ねながら制作した「説得力のあるデザイン」は見る人に納得や共感を与え、商品を購入するきっかけとなります。そうして顧客満足度を高め続けることで商品やブランドの信頼感にもつながり、ターゲットの心を掴むことができるのです。(株式会社フジプラス) 架空のビジュアルを例に考えるおわりにまとめ■商品を売るためには、その魅力をター

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