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イメージIdea4U vol.712024 Autumn10 第1回では、デザインとはあくまでも課題解決のための手段のひとつであること、そして「いいデザイン」とは、多くの人の目に留まり心を惹きつける、「世界観」が作り込まれたデザインであることをお伝えしましたが、デザインにも様々な種類があるように、「いいデザイン」の捉え方も場合によって異なるでしょう。例えば商業デザインにおいては、商品やサービスが多くの人の目に触れ、何かしらの目的を達成することが必要です。つまり、商業デザインにおける「いいデザイン」とは「売れるデザイン」です。今回はそんな「売れる」に繋がるデザインについて、掘り下げていきたいと思います。 商品を売るためには、その商品の魅力を購買層にアプローチするための手段が必要です。その手段の一つがデザインであり、その媒体は「チラシ」「パッケージ」「ポスター」などさまざまです。世の中にある全ての商品には必ずデザインが関わっています。 購買層にアプローチする上では、商品そのものが心惹かれるものであることは大前提ですが、その良さが「ターゲット」に的確に届いていなければ、どれだけ魅力溢れる商品でもなかなか手に取ってもらえません。 では「商品の良さをターゲットに的確に届ける」というのは具体的にどういうことなのでしょうか。 売れるために必要な要素は色々ありますが、「値段が安い」というだけでも、人によっては購入するきっかけとなるでしょう。そのため「売れるためにはこれが必要不可欠」「これさえ守っていれば売れる」という確実なセオリーはありません。しかし、売れるための要素の一つとして確実に挙げられるのは、デザインによる「説得力」です。 例えば、アパレルの商品カタログに掲載されているカーディガンの写真が、横脇に抱えた状態のものしか無かったとしたらどうでしょう。たとえターゲット層の好みに合ったビジュアルであっても、「着用しているところが見たかったのに、これだとよく分からないな」と感じてしまいますよね。「こんな風にコーディネートすると素敵」「これなら自分にも似合うかも」という、ある種の納得感や共感がなければ、「購入」には踏み切れないものです。この納得感や共感を与えるためには、ターゲットが求めている情報が正しく伝わるデザインで、訴求力を高めることが効果的です。 説得力をデザインで表現するためには、クライアントと同じくらい、デザイナーも商品の特徴や強みを理解しておくことが重要です。 「アプローチしたい層はどこなのか」「どんな人におすすめか」「どの商品を一番に売りたいのか」「商品の特徴」「口コミの反応はどうだったか」など、商品に関するこれまでの土台となる情報や、制作の背景を互いに共有することで、これらの情報を根拠として、ターゲットへ購買を促すためのデザインに落とし込むことができます。クライアントの要望を汲みながら、「商品の良さをターゲットに的確に届ける」という本質からブレない範囲で、幅広い発想で提案するなど、綿密なやりとりを重ねていくことで、デザインにおける説得力が生まれていくのです。商品の良さを「デザイン」で伝える売れるために必要なのは「これがいい」と思える説得力「説得力」をデザインで表現するには「いいデザイン」を生み出すコミュニケーション②「売れる」に繋がる!説得力のあるデザインでターゲットの心を掴む

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