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●法律的にはグレーゾーンに属する事案も多い●裁判に持ち込まれるのは極めて悪質な例●だからと言って法律を無視するのは本末転倒● 法律に抵触しなくとも道義的責任から「社会的制裁」が下される ※昨今の複数の芸能人の事例でも明らか参考用語解説資料4コンプライアンス[compliance]2000年以降、ビジネスシーンでも頻出するようになった表現ですが、英語をそのままカタカナで起用する際の傾向として、感覚的に理解して使っているケースも多いでしょう。一般には「法令順守」と訳されることが多いのですが、これを「法律を守ること」と単純に解釈するだけでは不十分です。企業として法律を守るのは最低限必要なこと。大切なのは、世の中に影響力をもち、社会的責任を負う企業という立場で、道義的なものを含む社会のルールを守りながら企業活動を行う、という意味合いを持っています。「知的財産権」と「コンプライアンス」の関連性資料3企業としての品位が試される局面!ということイメージ「知的財産権」に敏感になる=「コンプライアンス」意識が高まるそうなことは避けるのが妥当でしょう。事前に予測できていれば、対策はごく シンプル。「撮影時は、キャラクターTシャツは避けてください」と伝えるだけですから。CASE2企業のPR動画の場合 企業のリクルート用イメージ動画を作成するケースについて。打ち合わせの際、ターゲットが大学生ということで、若年層に共感度の高い人気グループのPVをヒントにしてはどうかというアイデアが出たとします。もちろん、楽曲も同じものを使うつもりです。そのまま提案して良いのでしょうか?あるいは、提案された側も、GOサインを出しても良いのでしょうか? 答えは、「問題になる可能性あり」です(資料2参照)。広く公開する限りは、著作権侵害と言われても否定できないからです(一概には言えないグレーゾーンが多いのも現実ですが)。もちろん、事前に許可を得た上であればOKですが、楽曲は管理団体への許可申請が必要です。ただし、内容によっては許可されないこともありますし、安易に模倣に走るのではなく、伝えたいコンセプトを起点に企画して、企業の個性を探るのが正しい道でしょうね。この場合、法律云々以上に、企業としての情報発信姿勢の是非が問題になりそうです。法律に抵触しなければいいのか?という視点 以上の例に共通するのは、必ずしも法律に抵触していなくても、社会通念や社会ルールに照らして、企業として正しい振る舞いかどうかの判断が必要ということです。つまり、コンプライアンス的な見地から見ることが、実は最重要ポイントなのです。日々の仕事を思い浮かべてみてください。達成すべきタスクを前に、関係者が増えて役割が細分化するほど、全体把握が難しくなりますよね。何か問題が起きた時に、「え?それはもう彼が確認したんじゃないの?」とか、「そっちは連絡済みだと思ってたのに」等々の問題が生じます。 動画制作についても、ツールで合理化して効率良く進められると思いきや、情報共有や対話・確認不足が原因で、思わぬことで躓く事態になりかねません。複数の制作会社や、クリエーターと連携して動くようなケースもあるでしょう。そうなると、なおさらだれもが危機管理意識をもたないと成り立ちません。「これ、問題ありでは?」と気付ける人を増やす、気付いたら必ず確認することを徹底する、場合によっては専門家に相談する、という流れを作っておくことが大切なのです。[終わりに] これまで、まだ比較的緩やかな時間の流れの中でコンテンツ作成に対応していた時代は、お互いの信頼関係をベースに、暗黙の了解的にうまく回ってきました。ただし何事もスピード感が必要な今、コンテンツに関連する権利関係で不安要素を取り除くには、あえて契約書面で取り決めしておくのが賢明、という側面もあるでしょう。そのことで、知的財産権全般に対する意識も高まるはずですし、コンプライアンスという切り口から見た、トラブル回避の考え方のひとつとして参考になればと思います。情報が一瞬でシェアされ、広がっていく時代。良いことより、悪いことのほうが伝播スピードが速いものです。正しく企業活動を継続するには、知的財産権の法的な解釈に加えて、コンプライアンスへの正しい感覚が必要ですというお話でした。(株式会社フジプラス)まとめ■ コンテンツ作成のプロセスが手軽になってきたからこそ注意すべきことを確認すべき。■ 身近な「ありそうな事例」を知ることで、何が問題になり得るかを日頃から意識しておく。■ 「知的財産権」は、法的にOKと解釈されて も、コンプライアンス的にアウトな場合も多い。Q 人気グループにPVとほぼ同じストーリー構成で、似た印象の登場人物で作ったリクルート目的のイメージ動画は許される?9Idea4U vol.552021 January

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