2. 「プロフェッショナルであること」の意味を考える― どんな思いで仕事にのぞんで いらっしゃいますか? 覚悟を持って仕事をすること。それが全て。簡単に諦めてはダメです。こんな話があります。いわゆるゆとり教育は、法律まで変えて実施しながら思い通りにいかず、やり切らないまま断念しましたよね。答えがないものに立ち向かう環境を受け入れられなかったことが、断念の本質的な原因でしょう。そこはプロとして貫けば良かったのでは?と思うところです。例えば、デジタルマーケティングについても、散在する課題を全体最適に向け解決すべきという追い風になっていますが、意志が中途半端だったり、意志を高める学習や議論もなければ、2~3年のうちに「結果が出ないからやめよう」となりかねません。やると決めたら、一部形を変えてでもやり続けること。最初は売り上げにつながらなくても、人材が育ったら必ず結果が出ます。あと、仕事に対する信念というところで、自分だけ儲かればいい、とは思いません。僕としては、印刷というものが好きだからこそ、みんなに連鎖させたい思いが強くなったんでしょうね。― アメリカで、日本との違いを 感じたのは特にどんなことですか? 「セカンドチャンス」という考え方です。スポーツの世界でも「勝負は自分が諦めるまで終わらない」と言われています。負けたままならただの負け犬、負けを糧にして弱みを克服し強みに変えれば問題なしという発想。プロの選手は、みんなそうです。テニスでもゴルフでも、100%勝てる人はいない!条件も違う中、常に同じことができるわけじゃないし、天候や体調、対戦する相手等々、いろんな要素を振り返って次を意識するものです。日本では「負けたらカッコ悪い」みたいな風潮がありますが、負けても次のことを考えるという価値観は、アメリカ生活の中で植え付けられました。 目標とは、「いずれこうなりたい」というものですが、答えのないものに向かって一歩踏み出す場合は、間違えることだってあります。「間違えた!」があってもいいはずです。でも、日本では「間違えたら終わり」というプレッシャーが強く、慎重になり過ぎて後戻りすることも多い。僕がよくマーケター、広告代理店、事業会社からブランドオーナーまで、いろんな立場の方と会話する中で、そう感じます。― アメリカでの生活を経験した後、 日本に帰ってきてどう感じましたか? 仕事上、何か問題があってストレスを感じても、声をあげられない人も多いのかなと思いました。その点、僕は一度日本の外を経験しているから、問題があれば正直に声をあげる!誰かが口火を切らない限り議論にすらならないし、問題点を認識しつつも苦しみながら続けるのが良いとは思えませんし。現場を任されている方と話で、「社長にどう伝えたら良いでしょうか」と聞かれた時には「君は何したい?これが人生の目標で、ここに価値を求めるならそのままぶつかればいい」と答えました。「価値観が合わないと判断すれば、やめて合うところに行くか、自分が折れて諦めるかだよ」と。結局人生はそんなものでしょう。グーフ設立の背景もこれが当てはまるし、順風満帆ではないわけです。メインの目標はブレないことが大事!マーケターをはじめ仕事のプロを自負する方に伝えたいのは、スキルや知識がどうではなく、仕事を楽しめているか、自分自身を育てられるか、人に誇れるか、楽しく話せるか、それがあってこそ共に未来を描けるのだと思っています。同じ仕事をするなら、自分の信念を貫き、プロとして自ら成長し続けていきたいですよね。3. 次世代へのバトンタッチに備えオープンであり続ける意味― アメリカからの帰国当時、 まず何から始めましたか? 純粋に自分ができることをやろうと、一社員として父の会社に入りました。1996年のことです。突然決めたので、驚かれまして。もともと父には継ぐ気はないと伝えていたので(実際にも継いでない)、後継者のない会社に無責任に若い社員を入れることはできないと、昔からの従業員を大切にしていました。平均年齢が54歳という中での、僕の帰国ですよ。その頃、印刷のデジタル化の第一波が来ていて、父とデジタル印刷機を見に行ったのですが、「これは世界を変えるぞ」と思いました。アメリカで事業として関わった中に、デジタルとリアルを組合せたeラーニング事業があって、当時は技術的問題で諦めていたことが可能になったとわかり衝撃でした。アメリカで、デジタル側に居ながら、紙の圧倒的能力を体験したことが、確実に影響し続けています。その第一波はやがて、軽オフ、ライトプリンティング領域、ビジネスドキュメント系で革命を起こしました。企業が印刷機を採用した影響で、数多くの印刷会社が消えていく中、父の会社はデジタル印刷も取● アメリカのスラング「グーフィー」には、やんちゃ、風変わりといった意味のほか、左利きという意味があります。「サーフィンの世界でも、左のグーフィースタンスのほうがきれいに乗れる波もあるのだから、右利きをレギュラーと呼ぶ既成概念を壊したい!」との思いがあったそうです。● ただ、グーフィーという名称は権利の関係上使えないため、グーフと名付けたとのこと。おかしいことは正したい!という反骨精神から生まれた社名なのです。社名の由来は?株式会社グーフ CEO 岡本幸憲氏3Idea4U vol.552021 January
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