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5Idea4U vol.342017 Julyフィルタリングの長所と短所表ハガキDMにおけるレコメンデーション例資料分 類協調フィルタリング内容ベースフィルタリング多様性○×ドメイン知識○×スタートアップ問題×△利用者数×○被覆率×○類似アイテム×○少数派の利用者×○まとめ■顧客のあらゆる情報を取得して、興味・関心に合った情報を提示する。■AIが進化しており、レコメンデーションの高度化が進んでいる。■EC(Web)サイトやEメールだけでなく、紙でもレコメンデーションされつつある。いない」といったように、似たような特徴を持つ人や過去の購買履歴が似ている人は同じような物を好むということを前提としております。あくまでWebのアクセス履歴等の人の行動に基づいて商品等の情報をレコメンデーションさせるため、商品そのものの詳細情報や関連性は必要としません。それにより、新しい商品や情報が投入された初期段階では、ある人が新しいものを古いものを両方に対して行動してもらえなければレコメンド表示されないという課題もあります。②内容ベースフィルタリング 商品の内容に対する属性情報と人の好みの関連性をベースとして、人がどの属性タイプの商品を好んだか、あるいは選んだかによってプロファイルを構築していくことでパーソナライズされた商品を提示する手法です。「この情報を見ていれば、あの情報も見ているだろう」だけでなく、内容データベースの精度が高ければ高いほど「あるメーカーの情報を見ている人は、同メーカーの同カテゴリの情報を見ている」「他メーカーの類似カテゴリの情報を見ている」といったように、あらかじめ関連付けた情報をもとに多様にレコメンデーションできる利点があります。ただ難点なのは、情報が膨れると、属性を解析して関連付ける手間も増える課題もあります。 それぞれに長所や短所(表)がありますが、最近ではAI(人工知能)の技術が進んでおり、自動で判断したり操作したりして短所も自動的に補い学習できるようになりつつあります。レコメンデーションの使い方 レコメンデーションは、機会を逃さないためにも「その時」「その場」で答えを出すといった即時性が求められます。これまでは、人と人が距離や時間に影響されずにつながりやすいインターネットの世界が中心となって、システムの研究・開発が進んできました。そのため、主にはECサイトに商品掲載部分に組み込まれたり、情報サイトの記事検索部分に組み込まれたりして利便性が向上しております。 最近では、リアルの「紙」でもレコ メンデーションがはじまっております。よくある例として、POSレジのレシートに続いてクーポン券が出力されております。店舗のPOSの殆どには会員カードの仕組みがあるため、登録した顧客情報と購買履歴を紐づいてデータ管理されております。それらの情報を自動で分析して、その場でニーズのありそうな割引クーポンを発行することで顧客の離反防止に役立てております。 他にも、資料(写真)のようなハガキ DMなどにも使われはじめております。Webサイトの画面だと訪問してもらえないと気づかないし、Eメールで送信しても必ずしも受信者全員が開封して内容確認をするわけではありません。そこで紙のハガキDM等が届けば、顧客の目にも留まりやすくなります。デジタル印刷やシステム間の連携技術が進化し、印刷物が出来るまでのスピードもこれまでになく向上したため、レコメンデーションが求める即時性にも対応できるようになりました。 顧客とつながるためには、顧客を知ることが欠かせません。顧客を知り、顧客に合った情報が提供できるようになれば、継続的な関係づくりができます。レコメンデーションするためのシステムを活用しコスト(費用対効果)さえ計測できれば、人力のみで無くてもビジネスを活性化させることができるのではないでしょうか。(不二印刷株式会社)顧客の属性や購買履歴によってお薦めする商品内容を変えて、来店率や客単価アップを狙った施策例※神嶌敏弘氏が人工知能学会誌に連載した解説記事 『推薦システムのアルゴリズム』から転載

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