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5Idea4U vol.322017 March Landa社の「Landa S10」インクジェット品質でB1サイズ・両面カラー・毎時13,000枚を実現HP社の「HP Indigo 50000 Digital Press」オフセット印刷に近い品質でB1サイズ・両面カラー・毎分142mを実現デジタル印刷機の高速化・高品質化・大サイズ化が進んでいます資料まとめ■デジタル印刷では、従来のオフセット印刷に遜色無い品質やスピードを満たす必要がある。■データ連携を行ない、ワークフロー上におけるサービスレベルを決めて運用することが求められる。■インターネット上に保存されているデータが統合管理されていることで、人の五感に響く新たな価値が生まれる。出版業界に広がるデジタル印刷 出版大手の講談社やKADOKAWAには、書籍製造のプラットフォームとして高品質印刷を実現できるデジタル印刷機や高速インクジェット輪転機が導入されております。従来の方式では文庫本を数千部単位で重版後に在庫し、売れ残った分に関しては廃棄する方法を取っていました。ただ、在庫すると倉庫の維持や廃棄のために費用がかさむ問題がありました。デジタル印刷を導入する狙いとして、少部数でも重版ができる体制を作り、総在庫数を減らし、逆に在庫が不足した際には数百部単位ですぐ生産できるようにすることでした。 これは、過去のPODによる出版の取り組みとは少々異なります。PODでは用紙も限定され、オフセット方式による従来の印刷品質には程遠く、書籍本来の大事な風合いを失っていました。そのため、元々の書籍自身を絶版扱いにして、新たにISBNコードを取得して別の書籍として販売されておりました。しかし、デジタル印刷による書籍製造のプラットフォームでは、従来と同じ銘柄の書籍用紙を採用し、オフセット方式同様の印刷品質を可能にしております。また、少部数では妨げになる「見返し」をせず、表紙自身の印刷仕様を統一して従来同様のカバーや帯紙を被せることで、従来の書籍に遜色の無い仕上げにするなど工夫がなされております。クラウドサービスとデジタル印刷 営業・マーケティング・経営・会計・事務・分析等におけるデータ管理をするうえで、最近では様々な分野でクラウドサービスが活用されております。クラウドの特徴は、従来自分のPCや携帯端末に個別に保存していたデータを、インターネット上に保存する使い方やサービスであることです。それにより、自宅や会社、カフェ、図書館、外出先など、さまざまな環境からデータを閲覧、編集、更新することができます。身近な例を挙げると、GmailやhotmailなどのWebメールは、クラウドサービスです。連絡先やメール文章が全てインターネット上に保存され、Webブラウザや専用のアプリケーションから操作できます。 データがインターネット上に保存されている事から、最近ではクラウドサービスから印刷物を手配できる環境が整いつつあります(先述したフォトブックサービスも同様)。個人用途でさほど精細なものを求めない場合は、手元にあるプリンタからの出力で十分でしょう。ただ、自分以外の人に渡す印刷物であれば、印刷や配送に必要なデータをデジタル印刷のワークフローと連携することで、たとえ離れた場所であっても対応できるようになります。アイデアとして、営業であれば、クラウドでの名刺管理にスキャンするだけでその顧客先(相手)に御礼ハガキが送付できます。マーケティングであれば、メール配信した内容に受信者(相手)が反応すると、その反応した相手に合った内容の詳細情報がタイミングよく書類やパンフレットといった形で届けることができます。 このように、「データ」と「紙」の組み合わせ方が、改めて見直されております。「データ」については、クラウドサービスなどを活用しつつどう統合管理するかが鍵となります。また「紙」については、紙本来の質感や特徴を活かしどう人の五感に訴求するかが重要です。「デジタルVS紙」の議論は終わり、「デジタルwith紙」で価値をつくる新たなステージに変わろうとしております。(不二印刷株式会社)

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