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6Idea4U vol.252016 January インターネットが普及し始めて約 20年、今ではビジネスにとって欠かせないものになった。 さらに、ビジネスでネットをどう活用するか。そもそも通常の商取引や売買と何が違うのか。その本質を探ることで、ネットの活用方法を考える。 インターネットの登場によって、メディアを介さずに個人が世界中に情報を発信することが可能になった。ブログやツイッターなどで、一般市民の意見、政治家の発言、企業の商品発表、あらゆる情報が発信されている。これにより メディア《中間》を介さずに、情報の送り手と受け手がつながることになったのである。 ビジネスの場においても同様のことが言える。 通常、商品は製造者がつくり、小売店 が販売する。宣伝をするためには広告会社が加わる。商品が購入者の手に届くまでにいろいろな事業者が関わって いる。 ネットでの販売は、流通業者、小売店を介さずに、製造者から顧客へダイレクトに製品を届けることができる。生産者と消費者が《中間》を介すことなく直接つながるのだ。これは中間マージンが省けるというメリットがあるだけでなく、顧客との距離が近くなった分、 生産者は彼等の意見を直接聞いて、製品 作りに反映させやすくなる。 その具体例を紹介しよう。 生活を楽しく豊かにすることを目指す情報サイトの社員が、2001年ごろ自分 たちの使いたい手帳を作ろうと考えた。だが手帳については全くの素人。そこで、どのような手帳が望まれているか調べ るために、サイトの読者にアンケートを行った。 その結果、スケジュールだけでなく、多くのことを書きたいとの意見から1日1ページになった。仕事によって深夜・早朝に予定が入る人もいることから、1日 のスケジュールには24時間の時間軸をつけた。また、カードやメモなど様々なものを一緒に持ち歩きたいとの声から、ポケットの多いカバーをつけた。これをネット上で発売したところ、注文が殺到した。以来、毎年発売する度にアンケートを行って改良している。 最近では、分厚くて持ち運びに不便との声を聞いて、半年分の2冊に分けた手帳も発売した。サイズも当初は文庫本サイズのみだったが、もっと多くのことを書き込みたいとの要望からA5サイズを発売。さらに、コンパクトなものが欲しいとの要望から、1週間1ページのスリムなサイズもつくった。カバーも革製をつくって欲しい、色をもっと増やしてとの 声があり、革製カバーも14色も作った。今ではネットだけでなく、大型雑貨ストアでも販売されて、毎年手帳の売り上げNo.1を記録している。この手帳を毎年心待ちにする人も多い。 新聞広告とカタログを中心に事業展開をしていた新聞社系の通販会社がサイトをオープンした。新聞広告と同様、サイトでも顧客はシニア層が中心だ。同社は、ネットを通じて顧客の意見を反映した商品開発を行っている。 まず、開発する商品を決定し、業者を選定すると、サイトで企画を提示して 意見を募集する。意見は主に選択肢を用意したアンケート形式で集約するが、 自由に意見を書き込むこともできる。集まった声を参考に仕様を決定し、サン プル製作。サイトでそれを発表し、再度 意見を募集することもある。そして、発売する。 たとえば、気楽に持てる帆布製カメラ バッグ開発の場合、アンケートを行った ところ、デジタル一眼レフを使う人が多かったものの、コンパクトデジタルも少なくないことがわかった。カメラ以外に携帯電話や財布を入れたいという意見も多かった。これらの意見から、同社では、一眼レフを使用する人は、もう1本レンズを持ち運ぶことがあるが、 一方でコンパクトデジタルはその必要がなく、両者が使いやすいものにすることを検討した。 その結果、中にマジックテープで好きな位置で留められる仕切りを2つ付けた。3つに区分できるため、大きさの違う一眼レフもコンパクトデジタルも、レンズも収納できるようになった。外側サイドには携帯電話が入る大きさのポケットをつけるようにした。顧客の意見を聞きながらシニア向け商品開発第1回 ネット販売で消費者と直接つながるネットを使ったビジネスの本質を探るインターネットによって《中間》を介さなくなった利用者の意見を反映してバージョンアップする手帳ネット活用の真髄

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