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2Idea4U vol.222015 July スーパーマーケットやデパート等、売り場には常に「今、話題の○○」に関する情報がふんだんに溢れている。 「今、話題の○○」は、大抵の場合、店舗の出入口近くに山積みにされ、来店客の目にすぐに留まりやすい場所に陳列されている場合がほとんどだ。 そんな話題の商品を横目に野菜売り場へと行くと、こちらでも「今、TVで話題!」とのPOPが。どうやらこちらはテレビの健康番組で紹介された食品だ。 「健康によい」「○○に効く!」「美容効果がある!」etc...。もちろん、こんな情報に思わず飛び付いてしまう気持ちもわからなくはない。 健康番組で紹介された食品が、翌日賑やかなPOPと共に陳列棚の目立つ位置に移動され、数日後にはすっかりブームとなって売り場から姿を消し、なかなか手に入らなくなることも、今まで何度も経験済みの事象のひとつである。しかし、このような安易なメッセージばかりが目につくと一般的な消費者は、メディアやお店に踊らされてしまっているような気にならないだろうか。 一方、別の店の話をみてみよう。 こちらのお店の野菜売り場には生姜が2種類置いてあった。一つは高知県産の小さなサイズのもの、もう一つは中国産のもので高知県産のものよりずいぶんと大きいサイズの上に値段も安い。値段で見るか、それとも産地で見るか。それとも大きさで選ぶのか。こちらの生姜コーナーに添えてあったPOPは、中国産の大きなものには、「魚の匂い消しなどに、たっぷりとお使いください」、一方、高知県産の小さなものには、「香りが強く風味が良いので、薬味に最適です」との表示がされていた。このように書いてあれば、普段中国産の生姜を敬遠している人にも、用途によって使い分ければいいという気づきがあり、いつもと違うものを選ぶきっかけになることも。このようなお店側からのメッセージは気が効いているし、消費者にとってありがたい情報だ。消費者も気持ち良く受け入れるのではないだろうか。 今、お店には非常に多くの情報が溢れている。お店で独自に作った、もしくは売り場担当者が自ら描いた手書きのPOPはもちろん、メーカーから支給されるカラフルな印刷が施されたPOP、またデジタルサイネージが設置され、商品紹介動画やお馴染みのCMが繰り返し再生されていることも珍しくない。お店もメーカーも消費者に一つでも多く商品を手にとってもらうため、あの手この手で情報を繰り出してくるのだ。でもその方法が的外れで消費者の元に届いていないとなると、せっかくの努力も残念ながら水の泡...である。しかし、このような情報過多な時代に一体どんな言葉が消費者に響くというのだろうか。どんな言葉によって心を動かされ、実際の行動に移すというのであろうか。 ふだんよくスーパーを活用する人に聞いてみると、「自分が欲しい情報が手に入るお店」「いいことばかり言わないお店が信頼出来る」と言う。 例えば、とある商品の原材料表示を見ると『主原料には添加物を含みませんが、副材料には入っている可能性があります』の文字がある。副材料とはいえ、商品に添加物が入っている可能性があることを表示するのは本来売り手側にはリスクがあると考える方が多い。しかし、きちんとありのままの事実を伝えることで信頼を得ることもあるのだ。「添加物不使用」を声高にうたっている商品は多々あるが、もはやその言葉は消費者の心に響いていないようである。 あるいは、店頭の「朝採り野菜」の表示。今やこれをひとつの売りにしているお店も少なくはない。しかしながら、これは本当に当日の朝収穫された新鮮なものなのか? もしかしたら前日の朝かもしれない、と不信感を抱く消費者さえいるのも現実なのである。朝採りかどうかより、その野菜がいつ収穫されたものなのか、実際の収穫日時を表示して欲しいとの声も珍しくない。新鮮だとか安全だとか、そういうことよりももっと知りたいことがある、というのが消費者側の意見であろう。 他にも、卵の選び方。卵売り場に行くと、鶏卵ひとつとってみても、いろんな種類の商品がある。一番価格の安いお手頃なものから、ビタミン等が添加されたものやいわゆるブランド卵と言われるものも。しかし実際は「殻が白いのと、オレンジ色のものがあるけれど、どっちにしよう? これにはビタミンEが強化、こちらにはヨードが豊富って書いてあるけれど、一体どれほど違うの? 味には差があるの?」といった具合だ。商品の消費者が心を動かされる言葉とは?「いいもの」をつくれば売れるとは限らない売り場に溢れる情報どれだけ効果があるのか?信頼できる店はいいことばかり言わない買いたくなるポイントを探る

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