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5Idea4U vol.152014 MAYビジネス成功の新しいカギ 同じ外食でも、ファミリーレストランやハンバーガー、牛丼の業界は、大手企業の寡占がきつく、今から中小企業が参入しても、とても勝てるような市場ではありません。 ファミリーレストランであれば、ガスト・デニーズ・ロイヤルホストが寡占しておりますし、ハンバーガーであれば、マクドナルドとモスバーガーが寡占しています。牛丼であれば、吉野家・すき家・松屋によって寡占されています。 2年ほど前、そんな大手による寡占市場である「牛丼市場」に参入して、一気に数十店舗にまで拡大し、牛丼業界の風雲児となった新興チェーンがありました。しかし、今年に入り、相当数の店舗を撤退しています。 大手市場の寡占がキツイ業界に参入すると、そのような結果になってしまうのです。事業というのは、競合の力が強いと、勝つのは難しいのです。 ですから、中小企業が選択しなければならないのは、市場規模が大きいが、大手企業による寡占が進んでいない業界です。または、これから大きく伸びていくことが予想される市場です。近年だとスマホのビジネスなどが、それに当たると考えられます。 参入市場を誤ると、その後のリカバリーは非常に難しくなりますので、まずは、この意思決定を慎重に行ってください。 参入市場を選んだら、あとは差別化を図ることが必要になります。この差別化というのが、極めて重要になります。選択した市場が適切で、競合との差別化さえキチンとできていれば、失敗のリスクは極端に下がります。 差別化というのは、事業を考える上で最も重要な要素なのですが、差別化を考える際の視点は、戦略で差別化するか、組織力で差別化するか、どちらかです。会社の優位性というのは、そのいずれかで決まります。 組織力が差別化につながるというのは、ピンとこないかもしれませんが、戦略やビジネスモデルに特徴が無くても、組織力で他社を圧倒できれば、競争に打ち勝つことができます。 組織力によって大きな成功を収めた企業としては、光通信が典型例だと思います。圧倒的なテレアポとセールスのパワーで、瞬く間に東証一部企業へと成長してしまいました。行っている事業はOA機器の販売という珍しくないことなのですが、セールスが他社を圧倒したために成長できたのです。 しかしながら、そこまで組織力を高めるだけのリーダーシップを持ち合わせている経営者は、現実的に多くはいませんので、その他大勢の経営者は、もう1つの差別化要素である戦略について、知恵を絞る必要があります。 商品や販売方式、またサービス業であれば立地などで、差別化を図ることができますが、どの要素で差別性をもたせるにしても、そこに参入障壁を築くことが大切です。簡単にまねをされるような差別性では、あっという間に競争優位性がなくなってしまいます。ですので、他社が簡単には真似できないような要素を意図的に作りこんでおく必要があるのです。 差別化については、次号でさらに説明します。鬼頭 宏昌(㈱スモールビジネス紹介センター代表)まとめ■ 現在の事業が順調なときに、次の新規事業を検討するべき。■ 中小企業が新規事業を始める場合は、市場規模は大きいが、大手企業による寡占が進んでいない業界に参入するべき。■ 新規参入において差別化が重要で、戦略力か組織力のいずれかが必要である。■ その差別化には簡単に真似されないような要素を意図的に入れておくことが必要である。今後、スマホビジネスの市場は大きく伸びると予測される。しかも、大手企業による寡占が進んでいない。そのような市場に中小企業が参入する狙い目がある。戦略力と組織力差別化にはどちらか必要

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