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9Idea4U vol.142014 MARCHプロモーション 千葉の房総半島を走る鉄道は営業運転距離わずか約27キロで、1998年の開業以来赤字続きだった。しかし、列車に乗りながらイタリアン料理やエビ料理が楽しめる「ランチクルーズ」を始めて、経営が急速に上向いている。 このサービスのメイン・ターゲット層は30代と40代で、60代半ばの団塊世代ではない。なぜ、金を持っていると言われる彼らが主な対象ではないのか。 まず経費を抑えるため、イベントについては告知から、申し込み、決済まですべてをwebで行っていて、駅や旅行会社の窓口で申し込むことができない。ネットを利用する機会が少ない団塊世代の申込みは、自ずと少なくなる。 ランチクルーズで提供されるのは、千葉県茂原市のイタリアンレストランのシェフが、地元・外房で獲れた海の幸でつくった料理やワインで、料金は1人1万1000円(税込)。一流レストランの料理でなく、ワインも高級なものではないが、素材の良さや味については自信をもって販売している。 これについて、人生経験が長く、バブルの時代にグルメや旅行を楽しんだ団塊世代では満足できない人も少なくない。 だが、30代、40代の人はバブルを知らないか、知っていても恩恵を直接受けていないため、高価なものよりも実質的に良いものを求め、この料理は「プチ贅沢」として十分楽しめる内容だ。 そして、これから60代後半の人より、30代、40代の方が訪れる回数は多い。長い目で見ると、これらの世代をターゲットにした方が利益が大きい。 以上の理由から、同社では団塊世代を主要な相手にしていない。顧客となる人は団塊世代だけでない。思い切って若い世代に特化する方法もあるだろう。 同種の製品が多いものでは、性能を説明するより、実際に使ってもらうことでその良さがわかることが多い。そのために貸出しを行っている会社がある。■試乗車より長い時間お使い下さい 愛知県春日井市にあるカーディーラーでは、得意客が次に購入を検討している車種を知っている場合、車検の際、代車に同種のクルマを貸出していて、お客さんはその間存分に試乗できる。車検車よりもいいクルマが代車で乗れることもあって、利用客には好評だ。 他の日本の自動車メーカーでは、売出し中の電気自動車を30日間無料で試乗モニターできるサービスを行っている。エコカーとして注目される電気自動車だが、充電に何時間かかるのか、電気代はいくらか、走行中にバッテリーが切れないかといった疑問が多い。そこで1か月間という長期間の試乗サービスが行われている。■充電中のスマホの代わりに 日本の家電メーカーは、スウェーデンの野外音楽イベントでスマートフォンのお試しサービスを行って話題となった。 同社では、3日間にわたって行われた音楽イベントの会場内に、無料でスマホの充電ができるサービスブースを設置。観客が自分のスマホを充電する間、その代わりに新製品のスマホを貸し出した。 電話帳やアドレスのデータは、そのまま引き継いで使えるようにした。さらに、貸出されたスマホを使って会場内のレストランで特典を受けられ、出演アーティストと電話で話すこともできた。 新しいスマホの使いやすさを実感して、機種変更をした人も少なくなかったそうだ。あえて団塊世代を相手にしない千葉の鉄道会社百聞は“一触”に如かず 使って実感できるお試しサービス

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