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5Idea4U vol.142014 MARCH商売繁盛の新常識ではないかと思うようになっております。 というのは、例えば、喫茶店のビジネスを例に取ると分かりやすいと思うのですが、喫茶店の事業は、コメダコーヒーなど大手チェーンの出現で、ほとんどの個人店は売上の大幅な減少に苦しんでいます。そういったお店の売上を、もともとの売上水準に戻すのは至難の業です。なぜならば、競合が強すぎるからです。強すぎる競合に戦いを挑んでも勝てる可能性は低いため、競合の少ない新たな 市場を開拓するほうが、遥かに容易です。すなわち喫茶店の建て直しよりも、宅配とんかつのような新たな需要を取りにいく ほうが結果は速く出るのです。 また、店舗系のビジネスにおいて、こういった二毛作ビジネスが有益だと思うのは、店舗系のビジネスというのは、売上に対しての固定費の割合が小さくなるほど、利益は増すからです。店舗ビジネスに おける固定費は、ほとんどが人件費・家賃・設備費です。先の例をとれば、喫茶店をやりながら宅配をやろうがやるまいが、 これらの固定費は変わらないのです。 お客が来ても来なくても、同じように家賃や設備費や人件費はかかります。 であれば、二毛作ビジネスによって売上を向上させ、売上対比での固定比率を下げた方が利益は上がります。 そのように売上を上げる、経費率を下げる。という両面において、こういった二毛作ビジネスは非常に有効であるのです。 また、既存事業が固定費をカバーしていれば、併設する事業は「価格破壊」を起こしやすいというメリットもあります。 経費の負担が少なければ、その分、原価率をかけてバリューを持たせたり、売価を抑えて販売したりすることが可能になり、消費者にとってのバリューを実現しやすいという戦略上の優位性もあります。 飲食店が宅配事業を行う以外に、私 たちの事例ですと、宅配事業をやりながら障害者さんの就労支援事業を行っています。また、宅配事業も、とんかつだけでなく、うどんやピザの宅配も行うなど、積極的に二毛作のみならず三毛作での 事業を行っています。既存事業とのシナジーが見込める二毛作は、非常に大きなメリットがあります。 飲食以外であれば、ジャパンレンタカーがカラオケ事業を併設したり、ガソリンスタンドがレンタカービジネスを併設するケースなどが、二毛作ビジネスの典型的な成功事例です。特にガソリンスタンドにレンタカーを併設するニコニコレン タカーは、短期間で1,000店舗を超える急 成長をしています。 既存店舗を活用した二毛作事業は、 本当に低投資で開業できます。 例えば、パン屋さんであればパン作りの教室を始めるとか、カフェなどであればアイドルタイムを文化教室に貸して収益を得ることも可能です。 成功確率の低い事業でも、いくつか立ち 上げるうちに、いつか必ず成功します。 そういう意味では、低投資であるが ゆえに、何度でも新しいチャレンジができるというのが、二毛作ビジネスのメリットでもあるのです。鬼頭 宏昌(㈱スモールビジネス紹介センター代表)カフェテリアを併設するパン屋で、二毛作ビジネスとしてパン教室を開催することもできる。写真の店では、定期的に店内で親子パン教室を開催している。まとめ■既存店がその設備や人材を活用して、別の事業を行う「二毛作ビジネス」で、初期投資を抑えて売上を増やすことができる。■個人規模の店が大手チェーンに勝てる可能性は低い。それならば、宅配とんかつのような、競合の少ない新たな市場を開拓する方が得策である。■二毛作ビジネスによって、売上に対する固定比率が下がり、利益は増加する。二毛作ビジネスは固定費のかかる店舗に有効宅配事業以外でも手段は多様に

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