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10Idea4U vol.142014 MARCHIdea4 Uワークショップセミナー開催プロから学ぶ売れるアイデアと現場のコツ!海外のデジタル印刷活用事例講師:日本ヒューレット・パッカード株式会社 プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括 デジタルプレスビジネス本部 マーケティング&ビジネスディベロップメントマネージャ山田 大策 氏ワークショップ1 いま、印刷の「デジタル化」がマーケティングを変えています。DM、名刺、カタログ、店舗装飾、商品パッケージなどあらゆるメディアがターゲティング可能となっています。そこで、今回は印刷からの視点ではなく、マーケティングの視点で印刷がどういう位置づけを担うことができるかということを、世界のデジタル印刷活用事例を交えてご紹介いたします。 現在、従来の印刷メディアを使ったマーケティングが減少傾向にあるのに対して、モバイルやE-mailが伸びているのはご承知のことと思いますが、レスポンスレートを考えたときには、従来の紙媒体(ハガキ、カタログ等)の方がレスポンスが高いという結果が出ています。これは、神経科学を活用して実証されたことでもあり、「紙媒体を見るときのほうが、脳の感情に関係する部位が活性化する(記憶に残る)」というものです。こういった印刷メディアにデジタルを取り入れることで、1. 無版なのでオンデマンド、短納期2. 感情に訴える媒体、高い投資対効果3. 間を取り持ち、多メディアの相乗効果を生むといった効果が得られます。 世界的な清涼飲料水メーカーが、ヨーロッパ32カ国で展開したキャンペーンをご紹介します。その国の人の名前(ファーストネーム)を多い順に150名ピックアップし、ラベルにひとつずつ印刷(150種類になる)。それをランダムに店頭に並べます。自分の名前を見つけた人は、ついつい購入してしまうというもの。しかもその目新しさからツイッターやSNSで拡散され、大好評を得ました。商品が変わったわけではなく、ラベルが変わっただけにも関わらず、これだけのインパクトがあるキャンペーンを実施することができました。 ここで重要となってくるのが、店頭で商品購入を決めるのが、3〜7秒の間とされていること。その短時間での購入の決め手となるもののひとつが、「自分ごと化」。情報への反応は、社会よりも身内への感心が高いため、自分に関係していることには、よりよく反応してくれるというものです。 北米で行われたサービスをご紹介します。これは、ウェブ上で、自分の写真が入ったガムのオリジナルパッケージを作れるというものです。価格を通常の2.5倍に 設定したにも関わらず、その後カナダや ヨーロッパでも展開されるほどに好評でした。 店頭(オフライン)から、オンラインのコンテンツにつなげて、いかに購入へと誘導させるかというところでもデジタル印刷が威力を発揮します。たとえば、スーパーで商品を手にとって主婦が、QRコードにスマホをかざすと、その商品を使ってレシピが見られる、など。こういった場合、QRコードの色を変えたり、形を特徴あるものにするだけでも、人は試したくなり、レスポンス率はアップします。O2O(Online to Offline)では、飽きさせない仕掛け、デジタルだからできる取り組みが重要となってきます。 こうして見てみますと、オウンドメディア(自社所有のメディアのこと、商品パッケージも含む)のさまざまな地点でターゲティングが可能になってきます。これがデジタル印刷の強みでもあります。そこでは、顧客が「自分ごと化」できることを考えていくことが重要です。 今日お話ししたことは、バーチャルなメディアが隆盛となった今だからこそ求められる、リアルなメディアが持つ価値について考えるきっかけになればと思います。リアルなものの強みオフラインとオンラインの往復デジタル印刷の強みとは〈自分ごと化〉させることで購入へ誘導「大手飲料水メーカーキャンペーン」店舗に行く前に購入を決定させる「ガムのオリジナルパッケージ」

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