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4Idea4U vol.132014 JANUARY 一昔前は、ドラッグストア・スーパー・コンビニ・家電量販店などは業種によって商品の棲み分けができていたが、現在は業種の垣根なく各々が様々な商品を取り揃えている。そのため、消費者から見ても業種ごとに店舗の使い分けをする必要がなくなっており、その傾向は特に最寄品に表れていると言える。 そういった中、新たな顧客層の取り込みを考え、結果を残したドラッグストアの戦略例を紹介する。 駅近くのビル1Fに出店することの多いドラッグストアHの販促部課長とコンサルタントのK氏は、月次の店舗業績レポートを見て販促戦略の話をしていた。その中で課長は最近気になる傾向があるという。課長「最近若い男性客の来店比率が少しずつだが向上している。もし、この傾向が続くのであれば、若い男性客誘致の販促に力をいれて新規客を獲得したい。」 確かに前年対比・前月対比などからも、一過性の伸びではなく、継続して緩やかに20代~30代前半の男性来店比率が伸びてきている。K氏「特に若い男性を狙って販促をしていないが来店客数が伸びているということは、しっかりと販促を行えばもっと集客できる可能性はありますね。若い男性客の購買データを分析し、集客戦略を考えましょう。」  集客戦略の立て方は、①購買データからターゲットの プロファイルを作成②ターゲットをGISで分析し、 配布エリアを選定③販促媒体の決定④ターゲットに伝わる 告知コンセプトの検討という順番で実施する。①購買データからターゲットの プロファイルを作成 ポイントカードデータとPOSデータから20代~30代前半の過去2年間の購入傾向を分析すると、以下の特徴が見えてきた(傾向は一部分のみ記載)。・食品の伸びが大きい。中でも乾燥系 (カップラーメン等)とパン系、惣菜系 が伸びている。・酒類も好調である。・売上構成比で最も大きいのはスキンケ ア類(洗顔)である。・来店時間は20時台の来店が 伸びている。・1人当たり来店回数が伸びている。 この傾向から顧客プロファイルを作成した。<顧客プロファイル>・1人暮らしである。・仕事帰りに自宅最寄駅から自宅までの 間に食品を中心に購入・食品の購入とともにスキンケア類の購 入もする・従来はコンビニで購入していたが、ドラッ グストアのほうが安くて品揃えが多いこ とに気付いた この結果、「コンビニからスライドした1人暮らしの若い男性サラリーマン」と命名した(図1)。 このプロファイリングの結果は、配布エリアの選定と告知物のコンセプトに活用する。②ターゲットをGISで分析し、 配布エリアを選定K氏「次はこのプロファイリングしたターゲットが多く住んでいるエリアをGISで絞りこみましょう」 まずはポイントカードから20代~30代前半の会員住所をGISで分析すると、半径1km以内に多いことが分かった。 次に統計データにより、半径1km以内のターゲットが多いエリアを選定する。・“1人暮らし”→「1人世帯数」・“20代~30代代前半”→ 「20~34歳男性人口」※販売促進最前線来店客層に変化が出てきたドラッグストア図1コンビニからスライドした1人暮らしの若い男性サラリーマン〈よく購入する商品〉カップめん菓子パン惣菜ビールターゲット層に合わせた集客戦略の立案手順若い男性をターゲットにした新規獲得戦略業種の垣根がない今、ドラッグストアが新たな顧客を取り込む方法

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